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柚木麻子 『BUTTER』(新潮社)

男達から次々に金を奪った末、三件の殺害容疑で逮捕された梶井真奈子。
世間を賑わせたのは、彼女の決して若くも美しくもない容姿だった。
週刊誌で働く30代の女性記者・里佳は、梶井への取材を重ねるうち、欲望に忠実な彼女の言動に振り回されるようになっていく。

柚木さんが描く“木嶋佳苗事件”。

木嶋佳苗への怒りって、
男からのものは、「あんなブスと付き合ってやったのに、裏切りやがって」みたいなことだろうし、
女からのものは、「あんなに太っているのに、自己評価が高すぎる」みたいなことですよね。

印象に残った箇所を抜粋します。

梶井の事件は最初こそ面白がられましたけど、男性読者を不愉快にし、落ち着かない気分にさせるんですよ。
打算に打算を重ねて、自分を傷つけなさそうな女を注意して選んだのに、結局ドツボにはまるっていうところが、日常レベルで我が身にも起きそうでみんな怖いんですよ。

ただでさえ成熟よりも処女性が尊ばれる国だ。
女は痩せていなければお話しにならない、と物心ついた時から社会にすり込まれている。
ダイエットをせず太ったままで生きていく、という選択は女性にとって相当な覚悟を必要とするだろう。
それは何かをあきらめ、同時に何かを身につけることを要求される。
ところが、梶井は何よりもまず、自分を許している。己のスペックを無視して、自分が一人前の女であることにOKを出していたのだ。


入り口のモチーフは木嶋佳苗事件ですが、里佳を通じて、読後に感じたのは「女として生きて行くことの不自由さ」みたいなものでした。

この人が女だったら絶対にこのポジションにつけなかったろうなというダメなおじさん部長。
その一方、女が部長になるには、男の10倍働かなければならない。

なぜ女は仕事に可愛げまで求められねばならないの?

共働きなのに、なぜ妻が毎日子供のお迎えに行くことになっているの?
なぜ妻は毎日早く帰らなければならないのに、夫は飲みに行くの?
え?それも仕事?でも女は飲まなくても仕事回るよ?

などなど、働く女性が抱いている日々のモヤモヤ。
それを梶井は最初から放棄している。
それが里佳を混乱させ、今までの価値観みたいなものを崩壊させます。
(だからー、サイコパスとは関わっちゃダメなんだよー。)

梶井の言い分。

男を赦し、包み、肯定し、安心させ、決して凌駕しないこと。
たったこれだけのことでいいのです。
どうして世の婚活女性たちはいつまで経っても理解しないのでしょうか?
そんなの人間じゃないみたい? 
私は声を大にしていいたいのです。
すべての女は女神になればいいのだ、と。


なるほどね・・・とも思いますが、でも私はできないし、やりたくない。
そんなことするくらいなら、働く。
女神になって金持ちの男をつかまえて働かないという生き方よりも、男無しで自分のお金で好きな物を食べ、好きな物を買いたい。
(これはもう平行線だわね。)

最後に。
私も読んでいて混同しそうになりましたが、あくまでもモチーフなので。
梶井=木嶋佳苗ではありませんので。



映画 「美しい星」

三島由紀夫を吉田大八監督が映画化。

私、吉田大八監督作品が好きで、全て観ています。
(「桐島、部活やめるってよ」が有名ですが、一番好きなのは長編デビュー作の「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」なのです。)

ある日、突然、宇宙人として覚醒した一家のお話です。

“当たらない”お天気キャスターの父は火星人として、
フリーターの長男は水星人として、
美人だけど浮いている大学生の長女は金星人として、
それぞれ、とあるきっかけで、覚醒。
そして、方法はそれぞれ異なるけれど、「地球を救う」という使命に駆られ、奔走します。

前半3分の1は、それぞれが覚醒するに至ったきっかけ。
中盤3分の1は、それぞれの奮闘。
ここまでは面白かったのですが、最後の3分の1がなぁ。

シュールすぎて、ついていけなかった。
シュールなのは良いのだけど、面白くなかった。
もっと違うアプローチがあったのでは?と残念に思いました。

お父さん役のリリーさんの演技、何ヵ所か声に出して笑ってしまった。



3点
http://gaga.ne.jp/hoshi/index.html

ジョン・ディクスン・カー 『緑のカプセルの謎』(東京創元社)

ディクスン・カー、2作目です。

町の小さな菓子店で、何者かが商品に毒入りチョコレートを混入、小さな子供が死亡するという事件が起きる。
容疑者として、町の名士の姪が浮上。
「人の記憶がいかに曖昧なものか」を証明するため、名士は寸劇を行うが、その最中に彼も殺されてしまい・・・。

本作が名作と言われているのは、きっとこの寸劇が理由ですね。
名士は寸劇を見せた後、観客にいくつか質問をする予定でした。
それにより、見ているつもりが、いかに見えていないかを証明すると。
この質問が引っ掛けもあって上手いということなんでしょうね。

でも、小説としては面白くなかったです。
アガサ・クリスティが面白いのって、トリックじゃないんだよなぁ。
人間ドラマなんだよなぁ。

でも、トリック好きな人もいるし、それは個人の好みでしょうね。

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