「グリコ・森永事件」をモデルにした小説です。

作者の塩田氏は元神戸新聞の記者。
大学生の時に「グリコ・森永事件」関連のノンフィクションを読み、あの事件で犯人が恐喝に使っていたテープが子供の声だということを知り、計算すると自分と同世代のはずで、同じ関西で、もしかしたらどこかですれ違っているかもしれない、同じ大学にいるかもしれない、そう考えたら全身に鳥肌が立ったとのこと。
それから時は流れ、子供が生まれ、日々成長する子供と接するうちに「この宝物を犯罪に利用するなど考えられない」と実感したのだそうだ。

本の惹句はこちら。

逃げ続けることが、人生だった。
家族に時効はない。
今を生きる「子供たち」に昭和最大の未解決事件「グリ森」は影を落とす。

社会派人間ドラマみたいなものを想像して読んだところ、確かに、犯人の子供がどのような人生を送るはめになるのか描かれており、彼らも被害者だよな・・・と思わせられます。

でもそれよりも、経済小説っぽい要素の方が印象に残りました。
本作、「グリコ・森永事件」の株価操作説を取っているのです。

読みごたえのある大作で、年末年始にピッタリかもしれません。

映画化とドラマ化も決まっているらしい?