舞台は2030年の日本。
2020年の東京オリンピック後、青少年の自殺率が急増。
殆どの若者たちは恋愛も結婚もせず、子供を持とうとしなくなった。
政府は若者たちのお見合い・結婚・出産を支援する「アカガミ」というプロジェクトを設立する。

近未来SFディストピア小説+恋愛要素という感じでしょうか。

「アカガミ」に志願したミツキという25歳の女性が主人公です。
これまで異性と話すことすらなかった彼女が、パートナーのサツキと手さぐりの共同生活を送り、やがて恋愛と呼ぶには不器用すぎる、けれど確かな、相手を大事に想う気持ちが生まれていく様子を描いています。

テーマ的にはハリウッドのSF映画にでもありそうな感じで面白いのですが、読んでいてずっとモヤモヤ。
なんというか、こうなって欲しいと思う展開に進まない気持ち悪さ。
でもこれは狙いだろうから仕方ない。
一番引っ掛かるのはプロジェクト名かなぁ。
さすがに政府もこんなネガティブな名称にしないだろうよ。
「ハッピーファミリープロジェクト」とか、なんかそういうのにするはず。

エンディングもちょっと雑です。
「アカガミ」の真の姿が分かるのですが、衝撃的な結末にしたかったのか、力尽きたのか分かりませんが、乱暴に思えました。
実態が分かると確かに「アカガミ」だなと思うのですが、それはあくまでも、裏での通称にすべきですよね。