桐野さんの新刊です。

谷崎潤一郎、その妻の松子、松子の妹の重子、重子の息子の嫁の千萬子。
重子の視点で、谷崎潤一郎をめぐる四角関係が描かれています。

谷崎潤一郎の作品は、全てが私小説とまでは言わないものの、常に身近な女性がモデルになっています。
せめて谷崎潤一郎の代表作である『細雪』くらいは読んでいないと、面白くないかと。
『細雪』のモデルが、重子たち四姉妹であることは知っていたのですが、『鍵』の敏子と『瘋癲老人日記』の颯子のモデルは千萬子だったのか。

この千萬子が本当に嫌な女で、私が松子だったら、発狂していたかも・・・。
谷崎が自分に惹かれていることを利用し、取り入り、虜にし、あらゆる高級品を買ってもらい、生活費をもらい、ついには家まで建ててもらっちゃう。
他人事ながら、歯ぎしりしそうになりながら読みました。

それにしても、やはり、谷崎潤一郎って、変態だったのだなぁ・・・。
『鍵』を読んだ時に、変態!?と思ったのですが、実生活もそうだったのね。
(『鍵』のあらすじを書くのは憚れるので、ネットで調べてみて下さい。)

お母さんではなく女でいて欲しいと、松子が妊娠したら堕胎させたり。
前妻・千代子に対してもひどかった。
千代子の妹であるせい子(『痴人の愛』のモデル)を好きになってしまい、友人に千代子を譲渡したり(後に撤回)。

・・・この人、文壇では尊敬されていたのかしら??