劇団イキウメの舞台を映画化したものなのですが、内容が舞台レベルで、映画のスケールに達していないように思いました。
もっと映画化に際し、埋めなきゃならない部分があったと思います。

ストーリーはありがち。
宇宙人が人間の身体を乗っ取り、周囲の人間から「家族」「自分」「所有」「自由」「仕事」「愛」といった概念を奪っていく。
奪われた概念はその人間から抜け落ち、宇宙人の知識として蓄えられると。
要は、来る地球侵略に向けての準備ということなのですが。

なんでその先鋒メンバーの宇宙人がたった3人なの?とか、なんで日本の特定の街(しかも東京じゃない)に集中しているの?とか、突っ込みどころは満載で、でもまぁ、元が舞台だからなぁとは思うのですが。

その辺のスケール感は譲ったとしても、黒沢さんらしい演出もあまり感じず。
(真治が「仕事」の概念を奪うところと、あともう1カ所くらい?)

牧師さんが「愛」の概念を伝えられなかったのに、鳴海(真治の妻)は溢れるばかりに伝えられ、それがラストに繋がっていくのですが、ここもっとやれた気がするのでもったいない。
カタルシスが足りないように思いました。

という訳で、劇場内も、「何の映画??」という空気が充満。
SFなのか人間(宇宙人)愛なのか。
殆どのお客さんは、黒沢清を特別視していないだろうから、何を見たら良い映画なのか分からなかったと思う。

真治を演じた松田龍平さんは良かった。
いつもの演技なのですが、いかにも宇宙人に乗っ取られた感が出ていた。


3点
http://sanpo-movie.jp/