発売された時に本屋さんでパラパラとめくってみたところ、ページ数も少なくて本の厚みも薄いし、ストーリーも平坦そうで、読み応え無さそう!と思って買わなかったのでした。
が、2016年度本屋大賞受賞で映画化も決定。
こうなると本好きを自称している以上、一応読まねばならないだろうと思い、ようやっと読みました。

結論。
文体は美しいけれど、映画化には疑問。
本当に本作を映像化したいと思ったのか?
単に本屋大賞取って、売れているからでは??
と疑いたくなってしまう。

通っている高校で調律師・板鳥の仕事を垣間見た外村は、ピアノを弾いたこともなければクラシックにも興味が無かったのに、調律という仕事に魅入られてしまう。
調律の専門学校を卒業した外村は、板鳥が勤める楽器店に運良く入社することができたが・・・。

新人調律師・外村の日常を柔らかい文体&美しい描写で綴った小説です。
大きな出来事は全く起こらないので、なにこれ?なんの話??と思う人も多いと思います。
私は、出来事だけが全てではないと思っているし、出来事を思い付くより、文字にしにくい感情などを描写する方が難しいのではとも思っているので、出来事が無いということでこの小説を否定したりはしません。
小川洋子さんの小説を思い浮かべました。

才能、努力、夢を諦めること。
そういったことが静かに淡々と描かれています。

あと、私もいまだにピアノを持っている(夫婦二人暮らしの2LDKで・・・)ので、調律師の仕事について知ることができたのは面白かった。

が、でもこれは映画化するような小説ではないと思う・・・。
たぶん、原作未読で、本屋大賞受賞なんでしょー!ということだけで観に行ったら、爆睡間違い無しだと思います。