1967年に起きたデトロイト暴動を描いております。

確かに暴動の発端は横暴なデトロイト市警にあります。

でも、でもよ?
自分達の住む街で放火したり略奪したりと暴動を起こして、街が崩壊して住めなくなったら、あなた達どうするの?
家賃高いからニューヨークにもワシントンにも住めないよ?
(実際、この暴動がきっかけでデトロイトは崩壊し、今では中心部は廃墟状態だそうです。)
正直、アホなの?と思ってしまった。
(実際、暴動起こした殆どの人がアホなんだと思う。)

映画の中心は、デトロイトのモーテルで起きた警察官による黒人青年殺害事件です。
モーテルに宿泊していた黒人青年の一人が、ふざけて、競技用のスターターピストル(音だけ鳴るやつ)で警邏中の警官達に向かって発砲するんですよ。
そしたらモーテルが警官&州兵に囲まれてしまって。
で、警官達が宿泊者達に誰が発砲したのか追及するのですが、誰も口を割らないから、エスカレートして拷問が始まると。
この拷問シーンだけで1時間近くあるんですよ。
もうね、ホラー。これ、ホラー。
バカな大学生がバカなことして恐ろしいことに巻き込まれるハリウッドのB級ホラーを観ているかのようにイライラしました。

一番の疑問は、なぜ、とっとと「ふざけてスターターピストルを発砲しました」と言わないの?と。
発砲した人をかばっているのだろうなと思ったのだけど、発砲した人は早々に殺されちゃうの。
そうしたらもうかばわなきゃならない人はいない訳で。
観終わっても、なぜ口を割らなかったのか、分かりませんでした。

うーむ。実話を元にしているから変えられないのだろうと思いますが、ふざけてスターターピストルを発砲したという愚かさに引っ張られて、作品の根底にある意義みたいなものが歪められちゃったように思います。
人種差別については頭では理解しているものの、日本人でリアルな実感が無いからか、このデトロイト暴動に関しては黒人の方々に同情できない。

実録物というかドキュメンタリーを観ているかのようなリアルさはあります。

そして、常軌を逸した警官を演じたウィル・ポールターの演技は印象に残りました。人種差別に少しも疑問を抱いていないどころか、自分の行為が人種差別とも思っていないサイコな様子に戦慄しました。

それにしても、やはり私はキャスリン・ビグロー監督とは合わないんだな。
「ハート・ロッカー」「ゼロ・ダーク・サーティ」そして本作。
テーマ的には意義があると思いますが、映画はやはり面白いかどうかだと思うの。
どれも面白くはないんだよなぁ…。


2.5点
http://www.longride.jp/detroit/