初版は1973年という古い小説です。
中町さんは本作で江戸川乱歩賞の候補となっています。
(受賞には至らず。)

新進作家の坂井正夫が青酸カリによる服毒自殺を遂げた。遺書は無く、世を儚んでの自殺として処理された。
坂井と結婚の約束をしていた中田秋子と、同人誌仲間だったルポライターの津久見伸助は、それぞれ独自に調査を始める。
秋子は以前、正夫の部屋で鉢合わせた遠賀野律子という女性を怪しみ、彼女に付きまとい追及していく。
津久見は、坂井と確執のあった編集者の柳沢邦夫を怪しみ、追及していく。

異なる人間を怪しんでいる秋子と津久見のそれぞれの目線で交互に描かれていきます。
こちらも先ほどアップした『ウェディング・ドレス』同様に、あれ?あれれ??となっていきます。
秋子と津久見が見ている正夫像がズレていくんですね。

ちょっとネタバレになってしまうかもしれませんが、折原一の『倒錯のロンド』と重なります。
でも、中町さんの方が先に書いているのですけどね。
でもそれを言ったら、海外ミステリーではもっと古くから使われているトリックだけど。

『ウェディング・ドレス』と『模倣の殺意』を読んだばかりだったので、映画「去年の冬、きみと別れ」のオチは分かってしまった…。
ま、皆が一度は書きたいと思うトリックということでしょう。