私、池井戸さんの小説は『下町ロケット』の最新刊を除き全て読んでいるのですが、その中で、1、2位で好きなのが『七つの会議』なのです。
何故なら。池井戸さんはストーリーテラーではあるけれど、人物描写は上手くないと思っているのですね。キャラクターが全てステレオタイプで、悪い人は悪い人、良い人は良い人と単純に分けすぎ。人間て、完全な悪人がいないから、ややこしいのだと思うのですよ。
その中で、この『七つの会議』は、連作短編小説集となっているため、1話目の主人公が2話目では脇役となっており、一人の人物を主観と客観で描けているので、池井戸作品の中では、登場人物に深みが出ていると思います。

そんな『七つの会議』を映画化し、私の最愛の野村萬斎さんが主演を務めることに。
萬斎さんがサラリーマン役!!
この逆転の発想は素晴らしい。その着眼点には嫉妬さえ覚えました。
実際、萬斎さんと香川さんの演技対決は見応えありましたね。
これだけでも十分、映画館で観る価値があると思います。

ただし、説明台詞やモノローグが多すぎると思いました。
ドーナツ販売に至るまでを、ほぼモノローグで処理していたのには仰け反りました。
映画はやはり、映像で伝えていくものだと思うのです。
テレビ局が映画を作るとこうなるのだなと。テレビドラマって、ザッピング中の人がどこから見ても入れるような作りを意識していると思うのです。分かりやすくを心がけ、やたらに説明する。
でも映画館で映画を見る場合は基本、最初から最後まで座って観ますから、テレビドラマとは作り方が異なるはずなのですがね。


4点

http://nanakai-movie.jp/