塩崎早樹は相模湾を望む超高級住宅地「母衣山庭園住宅」で30歳上の資産家の夫と穏やかに暮らしていた。だが、早樹には8年前に当時の夫が海釣りに出たまま行方不明になるという過去があった。
そして1本の電話が早樹の平穏な生活を乱し始める。それは元義母からの「息子を見た」という報告だった。

夫はどこかで生きているのか、死んでいるのか。
死んだとしたら事故なのか、まさか自殺か。
自殺だとしたら何に悩んでいたのか。

そんなループから離れ、ようやく夫の死を受け入れ、新たな人生を送り始めたのに、元夫の目撃情報が入る。
早樹は元夫の友人達を訪ね、元夫の足取りを掴もうとします。
彼らから知らなかった事実を知らされ心がかき乱され、さらに現在の夫の次女(早樹と同い年)との不和という問題も起こります。

何かすごく大きなことが起きるというよりは、早樹の心情をひたすらえぐる小説で、続きが気になりつつも、読んでいてかなり重い気持ちになります。
桐野さんの感情描写はリアルでヒリヒリしますね。

元夫が生きていたのかどうか。
ぜひ実際に読んでみてください。