2016年に起きた東大生強制わいせつ事件に着想を得た小説です。
被害者が受けた暴行や、被害者と主犯との関係性などは、かなり事実に即しているようです。

473ページとかなり長いです。
それは被害者と加害者の中学生頃からのバッグボーンを描いているから。
二人が最初の出会ったのは大学生になってからです。
なぜ彼女が被害者になったのか。
なぜ彼が加害者になったのか。
事件は瞬間的に起きるものではなく、目に見えない日々の積み重ねが、日常の数年が、彼女を被害者に、彼を加害者にならせたのだなと。
それは親の教育だったり、周囲の環境だったりと複合的なものによると思いますが。

登場する東大生男子達が笑っちゃうほど最低最悪で鼻持ちならなくて。
「女子大生は全員、東大生男子を逃すまいと思っている」と思っているのですよ。
って、え?そうなの?時代は変わったの??
…今度、新入社員の子達にヒアリングしてみます。

彼らの親も同様。
息子はハニートラップに引っかかった被害者だとすら思っている。
まぁ、こんな親だから、息子がこうなるということですね。

ラストの方に出てくるこの文章が秀逸です。

彼らは美咲を強姦したのではない。強姦しようとしたのでもない。
彼らは彼女に対して性欲を抱いていなかった。
彼らがしたかったことは、偏差値の低い大学に通う生き物を、大嗤いすることだった。彼らにあったのは、ただ「東大ではない人間を馬鹿にしたい欲」だけだった。