素晴らしい演出と、素晴らしい二人の女優。
火星に取り残される訳でも、隕石が落ちてくる訳でも、恐竜に追いかけられる訳でもないのに、なぜこんなにスクリーンから目が離せなくなるのか。
1カット、1カット、一つとして捨てカットが無く、とにかく美しい。

ケイト・ブランシェットの「エレガンス」と、ルーニー・マーラーの「イノセンス」。
キャロルはケイト・ブランシェット以外、考えられない。
あの気品ゆえに、こういう内容でも全く下品にならないのである。
そして当初は、テレーズ役はミア・ワシコウスカの予定だったそうだが、ミア・ワシコウスカだと知性に欠ける気がする。ルーニー・マーラーは、まさに「天から落ちてきた」という感じなのだ。

ケイト・ブランシェットって本当に上手いよね。
あの視線、あの口元、あの指先、そしてあの声。
キャロルに肩に手を置かれた時のテレーズ。その直後に知人の男性に肩に手を置かれて、その差に気付いただろうなぁ。キャロルに触れられた肩がどれだけ熱を帯びているかを。

あのラストの二人の視線の交錯。
台詞も無いのに、ものすごいインパクトで釘付けになりました。

監督は、「ベルベット・ゴールドマイン」「エデンより彼方に」のトッド・ヘインズ。
すごいなぁ。こういうことを演出と言うのだなぁ。


5点(5点満点)
http://carol-movie.com/