白石さんの自伝だよね!?という小説。
登場する出版社は、新潮社と文藝春秋を入れ替えているなと思いますが、白石さん自身が文藝春秋に勤めていたので、諸々配慮でしょう。
登場する編集者達もイニシャルや仮名になっていますが、きっとあの方ではないかな?と思い浮かべながら読みました。

白石さんの著作は全て読んでおります。
最近特にその傾向がありますが、小説というより、哲学書のよう。

人は何のために生きて行くのか?

白石さんの小説は一貫してこのテーマを描いていて、私なりの解釈では、「世界でたった一人の運命の人と生涯を共にする」ということなのだなと。
白石さんは過去の著作で、「最も大事なことは、この人が運命の相手だと決断することだ。そう決める覚悟を持ったときに、初めてその相手は真実の運命の人になるんだと思う」とも書いています。

そして白石さんの著作は一貫して、不倫にも肯定的。
運命の人はたった一人しかいないから、結婚しているかどうかは関係ない。

同じく白石さんの愛読者である友人と、「白石さんの奥さんはどう思っているんだろうね」とよく話していたのですが、もし本作がほぼ自伝であるならば、奥さんとは20年も別居していて(離婚に応じてくれない)、白石さん自身はたった一人の運命の人と暮らしている(別居後に出会っている)のだろうな。
それがタイトルの『君がいないと小説は書けない』ということなんですね。