黒沢監督が本作でヴェネツィア国際映画祭の銀獅子賞(監督賞)を受賞されました。
元々はNHKBS8Kで放送されたテレビドラマを劇場版として公開したのですね。

1940年。神戸で貿易会社を経営する福原優作は、訪れた満州で国家機密に関わる衝撃的な事実を知ってしまう。正義感に駆られた優作はこの事実を世界に知らしめるべく秘密裡に準備を進めていた。夫の秘密を知った妻・聡子は…。

私もよく、正義と個人の幸福について考えることがあります。
正義を貫き、他者を助けたとしても、その助けた人が明日交通事故で死ぬかもしれない。
それは極端だとしても、人は必ず死ぬのです。
一度しか生きられないのだから、別に大義や正義なんてどうでも良くて、自分の幸せを追求すべきでは。
いや、一度しか生きられないのだから、他者のために生きるべきでは。

私も正解は分かりません。
まぁ、全員が前者になったら享楽的で殺伐とした世界になってしまうと思いますが。

黒沢監督作品の中では一般受けする内容。
とは言え、黒沢監督らしい、ホラー映画じゃないのにホラー映画みたいな演出も何か所かで見られました。

私、黒沢監督信者ではないので、あまり期待していなかったのですが、悪くないなと思いました。
銀獅子賞とまでは思えませんでしたが・・・。

いちゃもんみたいですが、優作、聡子、優作の甥、そして聡子の幼馴染の憲兵分隊長までも、全員があまりに優等生的に想定通りの行動なのが気になりました。
人ってもっと自分でも思ってもいないような行動をしちゃうもんだけどねぇ。
最近だとグザヴィエ・ドラン監督の「マティアス&マキシム」みたいに。

3.5点
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