とある家族の物語です。

無口だが優しい智久と結婚し、長男・智晴を出産した由紀子は、両方の両親の力を借りながら、ささやかでも幸せな家庭を築けると思っていた。
だが智久も働いていた義両親の縫製場を閉じることになり、智久はタクシー運転手に転職。智久の給料だけではカツカツなため、由紀子も駅の売店で働くことに。
さらに双子を出産した頃から智久との関係にひずみが生じて行き。

智久がスナックで働くタイ人女性と深い関係になってしまい、何年も揉めた後、智晴が中学生になった頃に由紀子と離婚。智晴はタイ人女性の連れ子と高校でクラスメイトになってしまうんですね。複雑だ。

前半は由紀子の視点、たまに智久視点。
後半は主に智晴の視点で描かれていきます。

智晴が良い子すぎて、もはやファンタジーに感じる程でした。

ところで。
由紀子は一言も智久の低収入をなじってないの。
由紀子だって朝から夕方まで売店で働いているのに、家事も育児も殆ど由紀子が担っているの。
それなのに勝手に智久が自分を不甲斐なく思い、週1のスナック通いが心の支えになっていき、遂には深い関係になってしまうのだけど。

そりゃ、週に数時間だけ過ごす浮気相手の家は居心地良いでしょうよ。
そこには収入や家事の分担や子育ての問題など何も無い訳ですから。
でもさ、その浮気相手と結婚したら、また同じことの繰り返しだと思うんだよね。

という辺りの現実を智久視点で描いて欲しかったなぁ。