映画にとって最も重要なのは、「映像」なのです。
「映像でどう表現するか」と「画の力」ですよ。
もちろんストーリーや台詞も大事ですが、それなら小説でも良い訳です。
小説に無くて映画にあるもの、それは映像でしょう?

昨年の「バードマン」でのアカデミー賞監督賞は首を傾げてしまいましたが、監督賞の全ノミネート作品を観終わった今、今年はイニャリトゥ監督で納得したよ。(どこに立って言っているんだ・・・)

2時間37分という長尺の映画ですが、台詞は極端に少ないです。
なぜなら、熊に襲われ瀕死の重傷を負ったディカプリオ演じるハンターのグラスが、息子を殺して自分を置き去りにした仲間に復讐するため、雪に閉ざされた過酷な原野を一人サバイブする話だから。

これがもう言葉に表せないくらい過酷なのです。
氷の張った河を泳ぐなんて序の口で、よくこんな過酷なことを思い付くな・・・というサバイブっぷり。
私なら2分で死んでいると思うもん。

①最低気温、マイナス27℃にもなったそうです。
②マイナス5℃の中、裸に。
③あれ、本物の馬だそうです。
④あれ、生のバイソンの肝臓だそうです。
⑤トム・ハーディーとの殴り合いのシーンで、鼻の骨を折ったそうです。
こんな過酷な撮影をやり切ったディカプリオに敬意を表したいし、これをやらせたイニャリトゥ監督はすごい。
私、キムタクに、「氷点下でぇ、氷も張っているんですけどぉ、あ、でも殆どはスタントさんがやってくれるんで、河に飛び込むところと出るところだけやってもらえませんかぁ?」って言えないもん。

正直、演技がどうこうではなく、子孫代々まで一生働かなくて良いくらい既に稼いでいるディカプリオが、ここまでやったんだから、アカデミー取らせてやって!!!って感じです。
私、ここまでやって取れなかったら、出家すると思うもん。

と、過酷な撮影のことばかり書いてしまいましたが、一番伝えたいのは、本作の「画の力」です。
確かに内容はハードなのですが、映像が本当に美しくて力強くて素晴らしい。
ストーリーを追って画を撮ることは出来ても、こんな映像を創造できる監督は少ないと思います。
日本人でいるのかしら。

あともう一つ。本作には「親の子への想い」という普遍的なテーマがあります。
グラス→息子
アリカラ族の族長→白人に誘拐された娘
母熊→子熊
3つも流れていましたよ。


4.5点(5点満点)
http://www.foxmovies-jp.com/revenant/