いま話題の山本周五郎賞受賞作です。
文庫改訂版の全5巻を読みました!
こんな暗い小説をモーリシャスのビーチで一気読み・・・。

主な登場人物は3人。

東京都児童センター職員の氷崎游子。
アル中の父親を持つ少女・玲子を気にかけている。

警視庁の警部補である馬見原光毅。
厳しく育て過ぎた息子が事故か自殺か判断のつかない死を遂げている。
そのことで家族が崩壊寸前なのに、他人の母子の心配ばかりしている。

私立高校の美術教師である巣藤浚介。
あまりに禁欲的な両親に育てられ、親子断絶している。
絵の才能がある不登校の生徒・亜衣を気にかけている。

この3人に、連続して起きている「引きこもりの子供が両親を殺害し自殺するという事件」が絡んでいきます。

天童さんは、当時もてはやされていた「家族にかえろう」へのアンチテーゼとして執筆されたそうです。様々な家族間の問題を解決せずに「家族にかえろう」なんて言ったら、結局、子供に皺寄せがいってしまうと思っていたようです。

観なかったけれど、TBSはよく本作をドラマ化しようと決意したなぁと思うくらい、重いテーマです。