西加奈子さんの新刊です。

ファンタジーも入っているので、好みが分かれるかもしれませんが、私は好きです。

主人公は小さな温泉街に住む小学5年生の慧。
父親が過去に2度浮気をしたことがあり、またその相手がいまだに狭い町内に住んでいることもあり、慧は大人の男を不潔だと思っている。
だから、自分の身体の変化を受け入れられない。猛スピードで大人になっていく女子が恐ろしい。
そんな時に、転校生のコズエがやって来る。

女子のポーチが恐ろしいとか、父親の無神経な一言が許せないとか、思春期の少年の気持ちを瑞々しく、そしてリアルに描いていて、西さんってすごいなぁと思います。
よく、あの時の気持ちを、こんなにクリアに覚えているなぁと。

そして、コズエの秘密。
全然違うけれど、「クラウド・アトラス」のソンミ451を思い出しました。
私はコズエの言うこと、本当だと思う。

昔も今も、不思議ちゃんと呼ばれる子供がいると思いますが、もちろん狙っている子もいるのだろうけれど、本当に「見えているものが違う子」もいるのだろうなと思います。

善悪すら、その瞬間だけでは決められないことがあって。
私は色々なことを、「そういうこともあるよね」と受け入れていけるようになりたいと思っています。
あと、常に反対の視点も持ちたい。
もう十分すぎるほど大人だけど。