趣味の為に生きて行く。

グルメ、本、映画、旅行をメインにアップしていきます。

井上荒野 『あちらにいる鬼』(朝日新聞出版)

井上荒野さんの著作も全て読んでいます。
井上荒野さんのお父様である作家の井上光晴氏と瀬戸内晴美さん(後の瀬戸内寂聴さん)との不倫を描いた小説です。
さらに帯の惹句は瀬戸内さんが書いているという。
すごいなぁ。やはり作家は常人の感覚を超えないとなれないんだろうな。

ご存じだとは思いますが、瀬戸内寂聴さんは尼僧の作家ではなく、瀬戸内晴美さんという作家が出家して尼僧になったのです。

かつて瀬戸内さんの『夏の終り』という小説を満島ひかりさん主演で映画化しましたが、これは、『あちらにいる鬼』より前の話であります。

本作、実話を基にしているので、ストーリーや構成が巧みな訳ではないのですが、とにかく描写が素晴らしい。井上荒野さんの最高傑作ではないかと思います。

ただし…。
『夏の終り』を観た時も思ったけど、どうしても寂聴さんの顔がちらついて・・・。
なぜ彼女がこんなに魔性なのか分からない。。。

宮部みゆき 『さよならの儀式』(河手書房新社)

宮部さんの新刊はSF短編集。
雑な表現ですが、「オチの無い世にも奇妙な物語」という感じで、個人的にはイマイチ。
宮部さんは短編向きじゃない気がする。



真梨幸子 『初恋さがし』(新潮社)

ミツコ調査事務所という探偵事務所を舞台にした連作短編小説集です。

真梨さんの著作は全て読んでいるのですが、年々、酷くなっている。
エログロというかエクストリームグロというか、露悪的というか、不謹慎というか。

構成もあまりに意図的にぐちゃぐちゃにし過ぎだし、ミスリードも卑怯なレベル。
伊坂幸太郎さんのような巧みな伏線と構成という訳ではなく、単に混沌としている。

もう何の話かすらよく分からない。

島田荘司 『異邦の騎士』(講談社)

御手洗潔シリーズの第4弾です。
御手洗潔シリーズを順番通りではなく、2作飛ばして読んでしまったので、他がどうなっているのか分かりませんが、御手洗潔シリーズと言う割には、御手洗が出てくるのが遅く、そんなに出番は無い。
(最後持っていくけど。)

記憶喪失になった男が良子という若くて可愛い女の子と出会い…という話。

島田作品、まだ3作しか読んでいないですが、仕掛けがあまりに壮大すぎて、リアリティが全く無いですね。
島田さんがすごく面白いトリックを思いついて、リアリティは無いけど、ミステリとして面白いからいいやということになっているのだろうなと。

本作も、えー、そのゴールのために、ここまでする!?と。
まるで『赤毛連盟』的な・・・ ちょっと違うか・・・

垣谷美雨 『姑の遺品整理は、迷惑です』(双葉社)

タイトル通り、姑の遺品整理をしなければならなくなった主婦の話です。

垣谷さんの小説は全て読んでいて、いつも何かモヤモヤしたものを感じていたのですが、今更ながら、ようやく気付いた。

殆ど出来事が無く、ひたすら主人公のモノローグなのです。

私は普段、出来事追いの小説を批判していますが、でもさすがにこれはどうなのと。
しかもほぼモノローグで構成されているのに、登場人物が筆者の都合で動かされている気がする。

伊坂幸太郎 『クジラアタマの王様』(NHK出版)

伊坂さんの新刊。

製菓会社に勤めるサラリーマンとトップアイドルと政治家。
何の繋がりも無かった彼らが数奇な運命を共にするというお話です。
パラレルワールド的なSF要素も入っているので、ちょっと苦手と思う人もいるかもしれませんが、社会派要素や風刺有り、ウィットに富んだ会話有り、そして何よりさすがな伏線たくさん有りで、面白かったです。

部下の手柄は奪い、自分のミスは部下のせいにする。

上のことしか見ていない人が出世する。

常にムスッとしている人は周囲から気遣われ、たまに笑顔を見せただけで意外と良い人と思われるが、常に穏やかで周囲を気遣う人は周囲から舐められる。

何で伊坂さんはこんなにサラリーマン社会のことが分かっているのだろうか。

柚木麻子 『マジカルグランマ』(朝日新聞出版)

若い頃に女優をしていた正子は、75歳を目前に復帰。
携帯電話のCMも決まり、「理想のおばぁちゃん」としてブレイクを果たした矢先に、家庭内別居中の映画監督の夫が急死。しかも仮面夫婦であったことが世間にバレ、手のひらを返されてしまう。
そこに亡き夫を慕って映画監督志望の杏奈という若い女の子が転がり込んできて・・・

正子の再生と復活の話でもあるし、杏奈をはじめとした正子の周囲にいる人たちの再生と復活の話でもあります。

が、なんだか登場人物たちが作者の都合で動いている気がして、所々、不自然さを感じた。
ラストも、こんな捻り、求めてないです。
素直に終わって欲しかった。

真藤順丈 『宝島』(講談社)

第160回直木賞受賞作です。

沖縄を舞台に、3人の若者の戦後1952年から1972年の本土返還までの20年を描いた小説です。
彼らは米軍基地から食料等を略奪する「戦果アギャー」のメンバーだったのですが、リーダーの“オンちゃん”を失ってからはバラバラになり、警察官、小学校教師、そしてテロリストと異なる道を進んでいきます。

久々に読むの苦戦しました…。
まず沖縄の方言が頭に入ってこない。
そしてものすごく長い。
エネルギーは感じるが、退屈。
正直、ストーリーは大したことが無い。

島田荘司 『占星術殺人事件』(講談社)

島田荘司さんのデビュー作です。
完全改訂版で読みました。

密室で殺された画家が残した手記には、六人の処女の肉体から完璧な女を創る計画が書かれていた。
彼の死後、彼の娘と姪の六人が行方不明になり、肉体の一部を切り取られた遺体となって日本各地で発見される。

長いです。
そして登場人物がやたら多い。

誰が画家の遺志を継いでこのいかれた計画を実行しているのか。
途中までは、何故こんな大掛かりなことしなきゃならないのさ・・・と思っていましたが、真相が分かってなるほどと!
まさに発想の転換ですね。

吉田修一 『続 横道世之介』(中央公論新社)

吉田修一さんの作品は全て読んでいて、ベスト3を挙げろと言われれば、『太陽は動かない』シリーズ、『悪人』、『怒り』なのですが、『横道世之介』も捨てがたい。

今回は、24歳の世之介の一年間を描いています。
留年した為にバブル最後の売り手市場に乗り遅れ、就職出来ず、バイトとパチンコで食いつなぐ日々。
そんな世之介と、世之介と人生のひと時を共にした女友達、大学時代の親友、そして恋人とその息子。
彼らのなんてことの無い日常を描いているのですが、吉田さんの描写が本当に素晴らしく、彼らがどこかに生きている気がしてきます。

そして、合間合間に、フラッシュバックではなく、フラッシュフォワードのように、世之介と関わった人々の27年後が描かれるのですが、意外な展開に驚くとともに、あぁ、未来は誰にも分からないものだなと希望が持てます。

とにかく世之介が愛すべき男で。
走り続けて息切れしてスローダウンした時に、そっと並走してくれるのが世之介なのです。
どうか、奇跡のように善良なこの男が、幸せになりますようにと祈らずにはいられません。

ていうか、善良な人間が損をするこの世の中って、一体誰が作ったんだろうと呆然とします。

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