趣味の為に生きて行く。

グルメ、本、映画、旅行をメインにアップしていきます。

とある家族の物語です。

無口だが優しい智久と結婚し、長男・智晴を出産した由紀子は、両方の両親の力を借りながら、ささやかでも幸せな家庭を築けると思っていた。
だが智久も働いていた義両親の縫製場を閉じることになり、智久はタクシー運転手に転職。智久の給料だけではカツカツなため、由紀子も駅の売店で働くことに。
さらに双子を出産した頃から智久との関係にひずみが生じて行き。

智久がスナックで働くタイ人女性と深い関係になってしまい、何年も揉めた後、智晴が中学生になった頃に由紀子と離婚。智晴はタイ人女性の連れ子と高校でクラスメイトになってしまうんですね。複雑だ。

前半は由紀子の視点、たまに智久視点。
後半は主に智晴の視点で描かれていきます。

智晴が良い子すぎて、もはやファンタジーに感じる程でした。

ところで。
由紀子は一言も智久の低収入をなじってないの。
由紀子だって朝から夕方まで売店で働いているのに、家事も育児も殆ど由紀子が担っているの。
それなのに勝手に智久が自分を不甲斐なく思い、週1のスナック通いが心の支えになっていき、遂には深い関係になってしまうのだけど。

そりゃ、週に数時間だけ過ごす浮気相手の家は居心地良いでしょうよ。
そこには収入や家事の分担や子育ての問題など何も無い訳ですから。
でもさ、その浮気相手と結婚したら、また同じことの繰り返しだと思うんだよね。

という辺りの現実を智久視点で描いて欲しかったなぁ。

金田一耕助シリーズ。

世間を震撼させた天銀堂事件の容疑者として取り調べを受けた椿元子爵が失踪。
「これ以上の屈辱、不名誉にたえられない」という遺書を残しており、遺体が信州で発見される。
ところが、椿元子爵が作曲したフルート曲が聴こえてきたり、子爵の姿を見たという者が現れたりし、遂に子爵の周囲で殺人事件が起きる。

これまた、『女王蜂』以上のインモラルな話でしたわ。
過去に何度も映画やドラマ化されているけれど、このご時世では厳しそう・・・。

金田一耕助シリーズの長編物。

伊豆半島の南にある月琴島に住む大道寺家の娘・智子が東京に住む養父に引き取られることになる。
上京直前に智子に届いた脅迫状通りに、智子の花婿候補が次々と殺される。
19年前に起きた智子の実父の変死事件との関連は?

今回は犯人が予測出来なかったなぁ。
動機が変態すぎる・・・。

智子は絶世の美女という設定なのですね。
そして本作は何度も映画やドラマになっているのですが、最近の作品だと智子役は・・・
2006年版 栗山千明
1998年版 川越美和
でした。
栗山千明、納得。

江利ヵ島という個人が所有する島に建つアリス・ミラー城に探偵達が集められる。
彼らが探しているのは「アリス・ミラー」と呼ばれているもの。
だが、一人また一人と彼らは殺されていき・・・。

クローズドサークルものですね。
ラストまで読んで、え!?となり、読み直しましたよ。
あー、そうですかー、叙述トリックだったのねぇ。
確かにヒントはあったよねぇ。

でもさぁ、あまりにこの人(犯人)のことを皆が触れなさすぎで不自然だよね。
やはりアンフェアだと思うよ。

殺人のトリックもあまりにリアルさに欠けるので、トリックのことはあまり深掘りせず読み進めました。。。

恩田陸さんの著作も全て読んでいて、『蜜蜂と遠雷』は我が人生ベスト10に入る傑作で、『MEZE』『クレオパトラの夢』『ブラック・ベルベット』のウイルスハンター神原恵弥シリーズも大好きだし、『Q&A』と『ユージニア』もお薦め。

ですが、本作は乗れなかったなぁ。
私、分厚い本にはむしろ血が滾るのですが、本作は無駄に長いと思いました。

小道具屋を営む兄とその一角でバーを開いている弟。
弟は物に触れると過去が見えるという不思議な能力を持っている。

ある日、ビルの壁画に使われているタイルに触れたところ、両親の過去が見えたんですね。
で、同じタイルを辿るうちに、徐々に両親の過去に近づいていくと。

それと並行して、解体現場や廃墟に白いワンピースを着た少女が現れるという都市伝説が広まり、二人は彼女をスキマワラシと名付けます。

という風にファンタジーなのですが、ちょっと大人が満足できる内容ではなかったような。
ラストも特に驚きも無く。

山本文緒さんの著作もエッセイ除いて全て読んでおります。
前作『なぎさ』から7年振りの長編!
最近の本ではあまり見ないくらいの分厚さで、むしろ嬉しい!

読んだ人にしか分からない感想で恐縮ですが、本と映画の記事は自分の備忘録要素が強いので。

プロローグにミスリードされましたー。
もはや叙述トリックと言ってもよいレベルでは…。いや、ちょっとおかしいなと思ったのですが、この方が小説としては斬新だと思ったので、ミスリードの方を潜在意識的に信じたかったのかも。

このプロローグによって、ほぼ終盤までは傑作だと思ったの。
『若草物語』でローリーが結婚するのはジョーではなくエイミーだと知った時のような、人生って何が起こるのか分からない!10年後の自分がどうなっているか分からないってワクワクしない!?仮に不幸になっていたとしても、それも含めて人生なんて全てネタだよね!と。

が、エピローグであれれ??
ちなみに本編は「小説新潮」で連載されていたけど、プロローグとエピローグは書き下ろしだそうで。
うーむ。本編だけだと、読み応えはありますが、まぁ王道な感じよね。

主人公をかっこつけず、正直に描写しているのが良いです。
主人公の都は茨城のアウトレットモールのアパレルショップで働く(正社員ではない)34歳の女性。
同じモールの回転寿司店で働く貫一と付き合い始めたが、中卒で元ヤンで回転寿司店勤務ということに不安を拭いきれない。

34歳にもなって、すぐに人前で泣く、結構痛い女なのです。

「私は実の親だって心のどっかで疎ましく思ってる。仕事にだって、なんの意欲もない。きっと誰に対しても心からは優しくできない。自分が楽することだけ考えてる。」
と都は自分のことを激白しますが、誰もが多かれ少なかれそうなのではと。

本作を読んで思ったことは、金八先生には申し訳ないけれど、自立していない人間が支え合っても「人」という字にはならず、共倒れするだけだよねと。
自立というのは精神的にも物理的にもという意味です。
だって、都が自立していたら、貫一が中卒とか回転寿司店勤務とか関係ないと思えるはず。
自分が自立していないから、自分自身が不安な訳で、それを相手に埋めてもらおうとするのは双方が不幸になるから止めた方が良い。
この人と結婚したら幸せになれるだろうか?幸せにしてくれるだろうか?という考えは改めた方が良い。

この人といると幸せだと感じるから結婚するのでは?

最後に、小津安二郎監督の「晩春」の周吉の台詞を引用致します。
結婚するから幸せになれるのではない。幸せは二人でつくるもの。

〈推理小説家エラリー・クイーン〉シリース、『悪魔の報復』に続くハリウッド編の第2弾。

ようやくエラリーはハリウッドの大物プロデューサーであるジャック・ブッチャーに会えまして、二十年以上に渡り敵対してきた俳優一家を題材にした脚本を書くことになります。
ところが、敵対していたはずの両家の男女が結婚を宣言。
しかし新婚旅行に向かう機内で毒殺されてしまう。

当時のハリウッドの様子が分かって面白いのですが、ミステリとしてはどうかなぁ。
犯人は意外と言うより、どうでもよい人だった・・・。

知らなかった作家さんで、本作が売れているのは知っていて、2020年度本屋大賞も受賞。
私、本屋大賞に限らず芥川賞も直木賞も興味無いので(年に数冊しか読まない人はそれらを参考にするかもしれませんが、私は一日一冊くらい読んでいるので、むしろ私が選んでやる的な上から目線)、これを書くために調べて受賞を知った次第。

が、本作はとても良かった。

お父さんが病死し、お母さんは恋人を作って消え、引き取られた叔母夫婦宅で中学生の息子から性的いやがらせを受け、居場所が無く、学校が終わっても公園で時間を潰す小学生の更紗。公園には同じく時間を潰している文という大学生がいて、ある日、文は更紗にうちに来る?と声を掛けます。
更紗は文の家が居心地がよく、両親がいなくなって以降、初めてちゃんと眠れる。
更紗を助けてくれたのは文だけだった。
でもそれは誘拐ということになり、文は捕まってしまう。

それから時が過ぎ、更紗は大人の女性となって、文と再会してしまいます。

文は更紗におかしなことは一つもしなかった。
おかしなことをしたのは叔母の息子なのだ。
でも世間は誰も信じてくれず、更紗を腫物として扱う。
二人の関係を認めてくれる人は世界中に一人もいない。

確かに更紗の行動にはかなりイライラさせられます。
DVの彼氏から逃げるのですが、アルバイト先を変えないので、もちろんすぐに住んでいる所もバレてしまいます。
バカなの?と思います。

ですが、文章がとても良い。
文体も心理描写も上手いなぁと思う。
そして構成も良い。

後半、えー!そういうことだったの!と見ていた景色がガラリと変わります。

更紗と文の関係が〈恋愛〉ではないのも良いです。
そういう次元を超えた、世界中で一緒に生きて行けるのはこの人しかいない感。

映像化すると気持ち悪い感じになりそうだから、しないで欲しいなぁ。

推理小説家(名探偵)エラリー・クイーンの長編。
順番的には『ニッポン樫鳥の謎』の次なのですが、先に『災厄の町』とさらに先の『盤面の敵』を読んでしまっていた。まぁあまり順番は関係無い気もしますが。

エラリーがハリウッドに進出です!
ハリウッドの映画会社から脚本を依頼されたエラリーが、大富豪殺人事件を解決します。

まぁ犯人も動機も分かっちゃったけどね。
手法は分からなかったけど。

ラストがオシャレだったなぁ。
事件を解決したエラリーに警視が御礼をしたいと言うんですね。
エラリーのリクエストがいけてました。

息子を死に追いやったカリスマブロガーの珠里亜に復讐を果たすべく、彼女の身辺を調べ始めた紀和は、2002年に起きた六本木のマンションで8人の少女が監禁されモンキャット事件に辿り着く。

そこに超高級マンションで発見された8体の惨殺死体や里親ビジネスや宗教などが絡んできて混沌とします。

真梨さんといえばイヤミスですが、今回はグロミスだったなぁ。
作中でマルキ・ド・サドが取り上げられていると言えば、なんとなく伝わるでしょうか。

私、マルキ・ド・サドは『美徳の不幸』も『悪徳の栄え』も読んでおらず、『ソドム百二十日あるいは淫蕩学校』を映画化した「ソドムの市」を観たくらいなのですが、「ソドムの市」は本当に無理だった。本当に本当に無理だった。よくこんなものを作ったし、出演した人がいるよ。

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