趣味の為に生きて行く。

グルメ、本、映画、旅行をメインにアップしていきます。

伊坂幸太郎 『ホワイトラビット』(新潮社)

伊坂さんの新刊です。

ほぼ仙台で起きた人質立てこもり事件のワンシチュエーションです。

巧みな構成と伏線、洒脱な会話、まさに伊坂ワールド全開という感じです。
おなじみの黒澤達も登場します。
ここ最近、ちょっと哲学的っぽい作品が多かった(それも好きですが)と思いますが、本作は割と王道エンターテインメントになっているので、万人受けするように思います。

ただし、伏線が巧みすぎるので、一気に読まないと訳が分からなくなるかも。

窪美澄 『やめるときも、すこやかなるときも』(集英社)

窪さんは常に「喪失と再生」をテーマに書き続けていると思いますが、今回も同様のテーマでした。

大切な人の死を忘れられない男と、恋の仕方を知らない女。
欠けた心を抱えたふたりが出会い、少しずつ寄り添っていく。

家具職人の壱晴は、高校3年生の時に目の前で恋人を亡くすという経験をしており、以来、恋人の命日から1週間、声が出なくなるという症状を抱えている。そして、何かから逃げようとするように、数々の女性と一晩限りの刹那的な関係を結んでいる。

一方、アル中の父親の代わりに両親を支えている桜子は、恋をする余裕が無かった。やっとできた彼氏に処女であることを引かれて以来、すっかり臆病になっている。

窪さんはやはり文章が上手だなぁと思います。
安定していて、ブレが無い。
人間の気持ちという文字にしにくいものをこんなに上手く表現できることに、いつも感心します。

ちょっとだけ気になったのは、桜子の痛さ。
かなりの痛さで、しかも顔も可愛くないみたいだし、やはり壱晴が桜子に惹かれていくのが、話が作られているように感じてしまいます。
もしくはコバルト小説っぽい展開というか。

でも、男が女に求めるのは「受容」である、という私の持論は立証されているなと思います。
女子の皆さん、必要なのは菩薩力ですよ!

桂望実 『諦めない女』(光文社)

35歳独身で30㎡のアパートに住み貯金ゼロのフリーライターの飯塚桃子は、他の誰もが断られてきた、小倉京子の独占インタビューを取りつけることに成功する。
一発逆転を狙って、世間の注目を集めている事件のノンフィクションを書こうと目論むが・・・。

2004年に小倉夫妻の一人娘である6歳の沙恵が行方不明になります。
それから12年後。
桃子は沙恵の母親である小倉京子に独占インタビューに応じてもらえることになり、さらに京子の元夫である
吾、慎吾の両親、沙恵の担任教師、京子の姉、子を失った親の会の主宰者などにインタビューを行うのですが。

これ、タイトルと表紙がストーリーに合っていないと思います。
えー、こういう話だったの!?と意外な方向に進んでいき、ラストにも驚き。

ネタバレになっちゃうと面白くないと思いますので、詳細は控えますが、もっと小さな話かと思っていたら、案外グローバル(?)な展開になっていき、その社会派な部分も心に残りました。

諦めない女とは、沙恵の生存を信じ続けてきた京子でもあり、難しいインタビューを敢行していく桃子でもあります。

中山七里 『翼がなくても』(双葉社)

刑事・犬養隼人シリーズと弁護士・御子柴礼司シリーズのハイブリット。
犬養VS御子柴が見られます。

陸上200m走でオリンピックを狙う沙良を悲劇が襲った。
交通事故に巻きこまれ、左足を切断、しかも加害者は隣に住む幼馴染みの泰輔だった。
アスリート生命を絶たれた沙良は恨みを募らせる。
そんな泰輔が殺害され、高額な保険金が支払われた。
一方、パラリンピックを目指し再起を図る沙良は、高額な義足を何度も買い替える。
その資金はどこから出ているのか?
警察は沙良に疑いの目を向けるが・・・。

ラスト、思いもよらない展開に、そうだったのか・・・と驚きました。
切ない話ではあるのですが、なんと言えばよいのだろう・・・、中山さんて職人なんだなと。
今回は特にこういう話ということもあり、その職人感が気になりました。
極端に言うと、こういう話はこういう風に書けばよいのでしょう?と、機械的に書いている感じがしてしまったのです。魂が込められていないというか。熱を感じられないというか。

酒井順子 『朝からスキャンダル』(講談社)

『週刊現代』2015年7月4日号~2016年7月2日号に連載されたエッセイ45本が収録されています。
『週刊現代』ということもあって、下ネタなども結構あります。
一番面白かったのは「週刊現代の罪」というタイトルのエッセイだったのですが、ここにはちょっと書けない。

他、印象に残った文章。

「年収一千万円のゆるふわ」
考えてみると、今は女性業界が全体的に、モテと儲けの両立の方向を目指しつつあるようです。「儲け」は「キャリア」と言い換えてもいいのかもしれませんが、たとえば政治の世界においても、昔は市川房枝さんや土井たか子さんなど、「政治と結婚しました」的な女性政治家が目立っていたけれど、今の女性は皆、結婚・出産を目指す。
~略~
スポーツ界においても、同様です。昔は、「現役でいるうちは、女を捨てます」的な女性アスリートが多かったものですが、今は各競技に可愛い選手がいっぱい。若い女子プロゴルファーを見ていると、岡本綾子さんや大迫たつ子さんの時代とは隔世の感を覚えずにはいられません。

「女子選手の婿探し」
男子選手のように、サッカーさえ巧ければモテるわけではない。サッカーの練習、試合、お金を得るための仕事……と忙しいのに、なでしこ達は、結婚相手まで自分で探さなくてはならないのです。

・・・女って大変だよ!
総合職でも、女だと仕事+可愛げまで求められたりするもんね。


東野圭吾 『雪煙チェイス』(実業之日本社)

『白銀ジャック』『疾風ロンド』『恋のゴンドラ』に続く、東野さんの実業之日本社ゲレンデもの第四弾。
前3作同様、ものすごく力を抜いて書いている感があるわー。
このブログにも何度も書いていますが、東野さんは2012年の『ナミヤ雑貨店の奇跡』を最後、以降ずっとダメだね。
なんかもうテンプレート化されているというか。
いつも展開が同じ。物理や化学ネタも同じ。描く美人像も同じ。
(東野さんは北川景子みたいな猫目の女が好きなんだろうなー。)
それでも『マスカレード・ホテル』も『ラプラスの魔女』も『祈りの幕が下りる時』(これは新参者シリーズだけど、イマイチ)も映画化が決まっているという。
もう東野さんの名前だけあれば、何でも良いのねー。

と、前置きが長くなりましたが。
殺人の容疑をかけられた大学生・竜実が、日本屈指の巨大スキー場で自分のアリバイ(殺人が行われた時、彼は一人でスノーボードに行っていた)を証明してくれる美人スノーボーダーを探す話。

ありえない展開とご都合主義な展開。
出てくる女はみんな美人。
本の厚みも中身もうすっぺらい・・・。
往復の通勤電車(計40分)で読み終わった。

編集者もさー、東野さんの原稿は、ははぁー!と三つ指ついて受け取り、一文字も直せないんだろうなぁ。

山内マリコ 『パリ行ったことないの』(集英社)

『フィガロジャポン』を10年も定期購読しているのに、パリに行ったことがない大学院生のあゆこ。
パリどころか海外には一度も行ったことが無い。
なんだかんだ自分に理由をつけて行かない。
ま、パリなんか行かなくても、このままでも良いかなぁ~とも思っていたあゆこだったが・・・。

年齢も肩書も様々な老若女子10人が、パリに行こうと思い立つまでを描いた短編集で、最後の章で、収束していきます。

やりたいと思っているのに、なんだかんだ理由をつけてやらないこと、ありますよね?
うしろめたさを感じつつも、でもまぁ、今のままでも良いんじゃない?と自分に言い聞かせてみたり。
私もあります。英会話だったり仕事だったり。

なんだけど、パリ!?と思ってしまった。
パリなんて、いつでも行けるじゃん!と。

でもパリはメタファーのようなものだと思えば良いでしょう。
他の人からしたら、私の英会話だって、はぁ?今すぐスピードラーニング(古い)でもやれば?と思われるでしょうし。

まだ感想を書けていませんが、やりたいと思っているのに、なんだかんだ理由をつけてやっていないアナタ!
ぜひ映画「ドリーム」を観て下さい。
素晴らしい映画です。が、私は少し凹みました。
なんで私は、なんの差別も受けておらず、逆境もないのに、やらないんだろう。頑張らないのだろうと。

宮下奈都 『羊と鋼の森』(文藝春秋)

発売された時に本屋さんでパラパラとめくってみたところ、ページ数も少なくて本の厚みも薄いし、ストーリーも平坦そうで、読み応え無さそう!と思って買わなかったのでした。
が、2016年度本屋大賞受賞で映画化も決定。
こうなると本好きを自称している以上、一応読まねばならないだろうと思い、ようやっと読みました。

結論。
文体は美しいけれど、映画化には疑問。
本当に本作を映像化したいと思ったのか?
単に本屋大賞取って、売れているからでは??
と疑いたくなってしまう。

通っている高校で調律師・板鳥の仕事を垣間見た外村は、ピアノを弾いたこともなければクラシックにも興味が無かったのに、調律という仕事に魅入られてしまう。
調律の専門学校を卒業した外村は、板鳥が勤める楽器店に運良く入社することができたが・・・。

新人調律師・外村の日常を柔らかい文体&美しい描写で綴った小説です。
大きな出来事は全く起こらないので、なにこれ?なんの話??と思う人も多いと思います。
私は、出来事だけが全てではないと思っているし、出来事を思い付くより、文字にしにくい感情などを描写する方が難しいのではとも思っているので、出来事が無いということでこの小説を否定したりはしません。
小川洋子さんの小説を思い浮かべました。

才能、努力、夢を諦めること。
そういったことが静かに淡々と描かれています。

あと、私もいまだにピアノを持っている(夫婦二人暮らしの2LDKで・・・)ので、調律師の仕事について知ることができたのは面白かった。

が、でもこれは映画化するような小説ではないと思う・・・。
たぶん、原作未読で、本屋大賞受賞なんでしょー!ということだけで観に行ったら、爆睡間違い無しだと思います。

山内マリコ 『さみしくなったら名前を呼んで』(幻冬舎)

山内マリコさんの3作目です。
引き続き、地方在住or地方出身女子の鬱屈みたいなものを描いています。

11の短編が収録されており、もはやショートショートのような短さですが、どれも心に何か引っかかります。
(なにこれ、なんの話でもないじゃん!?と思う人もいるかもですが。)

さよちゃんはブスなんかじゃないよ
昔の話を聞かせてよ
大人になる方法 
ケイコは都会の女
ボーイフレンドのナンバーワン
人の思いでを盗むな
走っても走ってもあたしはまだ十四歳
八月三十二日がはじまちゃった
Mr. & Mrs. Aoki, R.I.P.
孤高のギャル小松さん 
遊びの時間はすぐ終わる 

ものすごいブスの女の子が、何の経験も無いことに焦り、ものすごいブサイクの男の子と付き合い始めるが、ブサイク同士が付き合っていることに対する他人からの目が気になり別れてしまう「さよちゃんはブスじゃないよ」
誰かに“さよちゃんはブスじゃないよ”と言ってもらえたら、もう少し違ったのではないかという描写が心に突き刺さりました。

東京で働く地方出身&独身のアラサーが、久々に帰った実家で、親からも友人からも“結婚願望無くバリバリ働きたい人”というレッテルを貼られていて、“とにかく結婚したいし!”というモヤモヤを抱える「遊びの時間はすぐ終わる」

どれも何か大きな出来事が起きる訳ではないですが、シミジミ、心情が伝わる11編です。

山内マリコ 『ここは退屈迎えに来て』(幻冬舎)

山内マリコさんのデビュー作です。
山内さんの『あのこは貴族』が面白かったので、遡って順々に読んでいます。

地方で生まれ、地方で暮らす(Uターン含む)女の子達の8つの短編小説が収録されています。
・私たちがすごかった栄光の話
・やがて哀しき女の子
・地方都市のタラ・リピンスキー
・君がどこにも行けないのは車持ってないから
・アメリカ人とリセエンヌ
・東京、二十歳。
・ローファー娘は体なんか売らない
・16歳はセックスの齢

連作ではないですが、椎名という昔は人気者だったけど今はパッとしない男が共通項として登場します。

東京の大学に進んだものの仕事で挫折し地方に戻ってきた20代女性が主人公の「私たちがすごかった栄光の話」
親友同士で結婚相談所に入会したものの、その後の結果で友情に暗雲がたちこめる「やがて哀しき女の子」
女子高生達が一生処女だったらどうしようと悩む「16歳はセックスの齢」
が面白かったです。

「私たちがすごかった栄光の話」に藤代冥砂が憎くてならないフリーカメラマンの須賀(彼もUターン組)という男が出てくるのですが、彼の台詞が面白い。
「俺がこの数年でどんだけ
EXILEのバラードをカラオケで聴かされたかお前わかるか?」

ヒットしている映画のタイトルを見ても思うのは、日本はなんだかんだ地方の方が大多数なんだなということ。

こういう小説を読む度に、膨大な小説を読んではいるけれども、私には小説は書けないなと思うのであります。
小説を書くには、欠損というか渇望みたいなものが足りないのだと思います。

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