趣味の為に生きて行く。

グルメ、本、映画、旅行をメインにアップしていきます。

宮部みゆき 『希望荘』(小学館)

『誰か Somebody』『名もなき毒』『ペテロの葬列』に続く、杉村三郎シリーズの第4弾です。

って、今気づいたのですが、前3作は文藝春秋なのに、本作は小学館。
何があったのだろう・・・。
でもまぁ、本作から杉村三郎は晴れて(?)プロの探偵になったので、新シリーズとも言えるけど。

杉村三郎は前3作では義父が経営する今多コンツェルンの広報室に勤めており、やたらと事件に巻き込まれ、それを解決するという話でした。(TBSで連ドラになってましたよね。)
そして『ペテロの葬列』で妻の不倫が原因で離婚、今多コンツェルンも辞めていたのであります。

本作は、その後のお話。 
中編が4つ収録されています。

宮部さんはやはり、人間の悪を描くのが上手いです。
それも巨悪ではなく、それこそ「名もなき毒」というもの。
誰もが向こう側に落ちる可能性があるのだなと思わせるような。

シリーズ続きそうですね。
探偵になった杉村三郎、ドラマ化すれば良いのに。
(でも小泉孝太郎じゃないんだよなぁ。もっと人の良さそうなイメージ。堺雅人とか。)

垣谷美雨 『老後の資金がありません』(中央公論新社)

タイトル見て、私のことだ・・・と、ガクブルしながら読みました。

主人公は50代の主婦・後藤篤子。
1,200万円の預金があったが、娘の派手婚と舅の葬式が重なり、300万円に。
そこへ、夫と自分が同時にリストラに遭い・・・。

結構、読んでいて辛い気持ちになります。
が、ラストはご都合主義的な無理やり前向きモードに。

本当に老後の資金は6,000万も必要なんでしょうか?
それもう逆算したら無理なんですけど・・・。

ところで、うちの妹もまさに篤子の娘と同じく、岐阜の男と結婚したのですが、やはり愛知や岐阜の人って見栄っ張りの人が多いのかしら??
妹も篤子の娘と同じく、先方が派手婚を希望し、それなのにほぼ半額(先方の方が断然招待客多かった)負担させられていた。
私が許せなかったのは、二人とも足りない費用を両家の親に出させたの。
妹は36歳、妹の旦那は43歳ですよ!
アホかって思ったわ・・・。
一般人のくせに、なんでこんな派手な披露宴が必要なんだよ。
20代のデキ婚じゃないんだから、自分達で払える範囲でやるべきでは?
と、母親に陰でブーブー文句を言った私。

本作を読んで思ったのは、冠婚葬祭にかかる費用っておかしいよね。
なんで燃やす棺に何十万もかけなきゃならないのと思うし、祭壇も使いまわしなのに、高いのは100万円以上するのですね・・・。
アホかって思うわ!
私はお葬式してもらわなくて良い。
子供いないし、お墓もいらない。

旦那は鳥葬で良いと言ってますが、鳥葬は僧侶の中でも偉い人しか認められないとチベットに行った時にガイドさんが言ってたよ!

リチャード・ニーリィ 『心ひき裂かれて』(KADOKAWA)

『殺人症候群』に続き、リチャード・ニーリィの叙述トリックもの。

叙述トリックとは、登場人物の性別や国籍、事件の発生した時間や場所など、一部の描写をわざと伏せたり曖昧にすることで、読者の先入観や思い込みを利用し、ミスリードする仕掛けのこと。
「イニシエーション・ラブ」は映画化されましたが、文章上の仕掛けなので、映像化は難しいとされます。

で、本作。
精神病院から退院したばかりの妻・ケイトが、自宅で夫・ハリーの留守中に何者かに襲われる。
さらに心身を病んだ妻をケアしなければならないのに、ハリーの前に忘れられない昔の恋人が現れ・・・。

ハリーは妻が寝ている間に食料調達に出かけた際、レイプされかけた若い女性を助けるのですね。
で、その犯人に逆恨みされ、ケイトが襲われたのではないかと。

正直、ミステリーとしては全然面白くないです。
その後、連続レイプ事件が起きるのですが、展開がつまらない。

で、ラスト。
確かに衝撃でしたけど、え!?でも本筋に関係なくない!?みたいな。
WhodunitともHowdunitともWhydunitとも関係無いミスリード・・・。

叙述トリックだからといって、面白いとは限らない。
本作は叙述トリックで過剰に評価されていると思う。

井上荒野 『あなたならどうする』(文藝春秋)

時の過ぎゆくままに
小指の想い出
東京砂漠
ジョニィへの伝言
あなたならどうする
古い日記
歌いたいの
うそ
サルビアの花

昭和の歌謡曲にインスパイアされた9つの短編集です。
テーマは「裏切り」でしょうかね。

井上さんの小説は短編に限らず明確な起承転結が無いですが、本作もシーンを切り取ったような小説で、それゆえにライブ感があって生々しく感じます。

どれも男の裏切りを描いていて、痛いというか、読んでいて苦しいです。
タイトル通り、「私ならどうするだろう・・・」と思うと、頭がクラクラします。

久しく恋愛で辛い思いをしていないので、今こんなことが起きたら心臓がもたないかも・・・。
(もしくは得意の憤死か。)

井上荒野 『赤へ』(祥伝社)

「死」をテーマにした10の短編集です。

身近な人の死によって、周囲の人間関係が変容していく。
短編なので、明確な起承転結にはなっておらず、あるシーンを切り取ったような小説です。

井上さんがお母様の死を描いた「母のこと」が特に印象に残りました。

取り返しがつく、となぜか思える。
伏せっていても、好物のアイリッシュシチューを作ったよと私が言えば、「あら、じゃあちょっと降りてみようかしら」と起き上がる。
これまでそうだったように、この死も、そんなふうに覆せるのではないかという感覚がある。
それからふいに気がつく。覆らない。どうしたって取り返しがつかないのだと。母はもう生き返らないのだと。
気付いて、私はぎょっとする。おかしな話だが本当に、そのことは不意をつくように認識されるのだった。
それから悲しみがやってくる。毎回、はじめて会うような顔をしてやってくる。

私も肉親や飼っていた犬が死んだ時に、まさに同じように感じたのです。
生き返るのではないかと。(実際、火葬の寸前まで、そう思っていました。)
そしてまさに、覆せないのだと気付いて、ぎょっとしたのです。


リチャード・ニーリィ 『殺人症候群』(KADOKAWA)

仕事にも女にも引っ込み思案のランバート。
全てにおいて積極的で自信に満ち溢れたチャールズ。
同じ職場で働く対照的な二人の男を結びつけたのは凄まじいまでの女性への憎悪だった。

ランバートを愚弄した女を復讐のためチャールズが殺すのですが、一人を殺したことで、(犯人である証拠をつかまれそうになったりとか)芋づる式に何人も殺すはめになっていきます。

殆どラスト近くまで、単なるサイコ・サスペンスにしか読めず、まぁ確かにサイコパスの心理(犯行を誇示したい)はよく描けているなぁとは思ったのですが、何で評価されているのか分からなかったのです。

が、ほぼラストですね。
えー!?となり、読み返してしまいました。

なるほどなぁ。そうきたかぁ。
でもこれは映像化は不可能なやつですね。

倉知淳 『星降り山荘の殺人』(講談社)

初版は1996年。
クローズド・サークルものの名作とのことで読んでみました。

とある関東近郊の別荘地帯を買った企業が、そこをリゾート地として売り出すため、イケメンのスターウォッチャー、人気の女流作家、UFO研究家を招待する。
で、殺人事件が起きると。

大雪で交通が遮断され、電話も通じない。
確かに、雪に閉ざされた山荘という設定なので、クローズド・サークルとしては不自然さはありません。

私は普通に騙されました。
が、誰かに話したくなるような驚きのラスト!という感じではないのです。
後味が悪いというか、この人がこんな本性だったなんて、残念。

山本幸久 『誰がために鐘を鳴らす』(KADOKAWA)

翌年に廃校が決まっている男子だらけの県立高に通う錫之助。
ある日、担任から音楽室の片付けを頼まれた錫之介は、そこでハンドベルを見付ける。
「女子高のハンドベル部との交流」という不純な動機から、居合わせた3人の同級生とハンドベル部を創立することに。

イケメンでそつがない播須。
いじめられっ子の美馬。
不良の土屋。
チームワークもバラバラ、音楽の知識もないメンバーで始めたハンドベルだったが、徐々に演奏の面白さに目覚め、ハンドベルをきっかけに交流の輪が広がっていき・・・。

男子高生が不純な動機からハンドベルを始め、徐々に演奏の面白さに目覚め、成長していく。
ひと昔前なら、映画化しそうな内容ですが、今はそういう時代じゃないのかもなぁ。

山本幸久さんの小説も全て読んでいますが、いつも悪人が出てこず(今回は不良が出てくるけど)、安心して読め、ホッコリした気持ちになれます。

西村京太郎 『殺しの双曲線』(講談社)

作者自身が自署ベスト5に選んでいるという本作。
確かに面白かったです。

東京で起きている連続強盗事件。
外部と遮断された雪山の山荘(クローズド・サークル)で起きている連続殺人事件。

何の関係も無さそうな二つの事件が交互に描かれていきます。

この二つの事件は同時進行しているのだろうか?
それとも時制のトリックがあるのだろうか??

などなど疑いながら読み進めていったら、ラスト、そういう風につながるのか!と。

最近読んだ2冊のクローズド・サークルもの(『翼ある闇 メルカトル鮎最後の事件』と『リラ荘殺人事件』)は、あまりに不自然なクローズド・サークルで(絶海の孤島でも吹雪に閉ざされた山荘でもないのに、なぜ逃げない??)納得がいかなかったのですが、本作は満足度が高かったです。

井上荒野 『ママがやった』(文藝春秋)

79歳の妻が、7歳下の夫を殺してしまうところから物語は始まります。

二人の長女・次女・長男、そして妻、夫、夫の愛人。
様々な視点で描かれる連作短編集となっています。

井上荒野さんの著作も全て読んでおります。
井上さんの持ち味は、淡々としながらも不穏な空気を醸し出す文体。
ストーリーらしいストーリーはありません。
が、ところどころ、ものすごく印象に残るフレーズがあって、これはもう井上さんにしか書けないなぁと思ってしまいます。

こういう様々な視点から描かれる連作短編集を読むといつも思うのですが、他人が本当は何を考えているかなんて、絶対にわかりっこないのです。

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