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『このミステリーがすごい!2016年版』国内編ベスト10
〈週刊文春〉2015年ミステリーベスト10/国内部門
「ミステリが読みたい!2016年版」国内篇
全て第一位を獲得されています。

なんですが、ミステリーだと思って読むと、ちょととガッカリするかもしれません。私、途中で、犯人もドンデン返し的なオチも読めてしまいました。

本作の肝は、ミステリー性ではなく、「記者とは?」「ジャーナリズムとは?」という米澤さんの問いかけだと思います。

主人公の太刀洗万智は、元新聞記者のフリージャーナリスト。たまたま滞在していたネパールの首都カトマンズで、王族による射殺事件に遭遇する。太刀洗は伝手を辿って軍の関係者に取材を試みるが、失敗に終わる。その上、その軍の関係者が死体で発見される。太刀洗が接触したことが原因で殺されたのか?

取材を試みた軍関係者に、太刀洗はコテンパンにやられます。「なぜ取材をしたいのか?」「遠い異国である日本で本件を伝えても、人々の好奇心に消費されるだけで、ネパールの人々の何の助けにもならないのではないか?」「知ってもらいたいのではなく、自分の手柄にしたいだけではないのか?」「王の死を、見世物に、サーカスするつもりはない」(※全て正確な表現ではなく、私が捉えたものです)

外国人記者達がやってきて、ネパールの赤ん坊の死亡率の高さを取り上げた。そうしたら世界中からお金が集まった。赤ん坊は死ななくなり、人口が増え、少ない仕事を奪い合うようになった。増えた子供達が絨毯工場で働くと、再び外国人記者達がその環境を劣悪だと書き立てた。工場は閉鎖し、子供達はストリートチルドレンになった。

米澤さんはインタビューでこのように仰っています。
以前私が書店員をしていた頃、人が亡くなったり、大きな悲劇があると、「みんなこれに関する本を買いに来るぞ」ということで関連本の棚を作っていたんです。その時に思ったのが、誰かの哀しみに関する本を読んで「考えました」と言っても、その考えたことで誰かが少しでも救われるのか、ということ。特に関係ないというのであればそれはもう、悲劇を娯楽として楽しんでいる側面を否定できないのではないだろうか、という思いがどこかにありました。それで、一回、ちゃんと向き合いたいとは思っていました。

私も就職活動の時に、「知られざる事実を伝えたい」的なことを言いましたが、今ではそれがおこがましいことだと分かります。「知ってもらいたい」のではなく、「自分が知りたい」というのが本心だったなと。

舞台は近未来。
少子化による人口減に歯止めをかけるため、「10人産んだら1人殺しても良い」というシステムが導入されている、という設定。
男性も人工子宮を装着することで、この制度を利用できることになっている、と。

うーーーーむ。
字が大きくて薄い本なのです。
しかも、表題作だけでなく、他3つの短編も同時収録されています。
つまり、どれもとても短い小説で、私には、小説になっておらず単なる設定でしかないように思えました。
他3つも、カップルではなくトリプルで付き合うことが主流になったら、性を持ちこまない結婚というものがあったら、自殺が合法になったら、という設定で、「世にも奇妙な物語」のあらすじみたいな印象です。

話題作らしいですが、これを小説と認めたら、角田さんに申し訳ないよ。

いつもながら、ストーリーを楽しむ小説ではありません。
白石さんは繰り返し、人間にとって一番重要なことは地位でも名誉でも、ましてや金でもなく、たった一人の相手を見付けることだと書き続けています。
(正直、ちょっとワタクシ、飽きてきた嫌いもありますが・・・。)

とある事情から、主人公の高梨は高校卒業後、中堅の建材会社で働かせてもらえることになり、そこの女社長に引き立てられ、彼女の娘と結婚し、社長を引き継ぎます。
でも、ある衝撃的な出来事により、その結婚は破綻。今は独身なのですが、ひょんなところから本来ならば接点のあるはずがない20歳近く若い女性と知り合い、関っていきます。
現在進行系の話と、過去に何があったかが交錯していくのですが、いやぁまぁ波瀾の人生です。このテーマを際立たせるために、わざと波瀾にし過ぎたのではないかと思うくらい。

いずれにせよ、私は白石一文の小説が好きで、このモヤモヤさが理解出来ない人とは深い関係を築けないだろうなぁと思います。

作家には、ストーリーを作るのが上手い人、構成が上手い人、キャラクター造形が上手い人、心理描写が上手い人がいて、東野さんはストーリー作りと構成の上手い人だと思っていました。(最も構成が上手いのは伊坂さん)
キャラクターや心理描写は上手くないなぁと思っています。

なので、本作みたいなミステリーではない人間ドラマを書かれると、うぅむとなってしまう。


テーマは、「脳死」。
もし自分の子供が事故に遭い、「脳死の可能性が高い」と医者に言われたら、臓器提供しますか?という話。
なお、「現在の日本において法的に脳死と認められるのは、 臓器提供のために法的脳死判定を行った場合のみ」なのだそうですね。
なので、臓器提供しない場合は、脳死状態かどうかも調べてもらえず、何年この状態が続くかも分からないまま、延命治療することになります。

日本では脳死の可能性が高いと言われても、心臓が動いているうちは、死んでいるとは思い難いし、たとえ脳死であったとしても、延命治療したいと思う親は多いのではないかなぁ。

一方、それによって日本では子供の臓器提供者というのが少なく、重い心臓病を患った子供とその親が、臓器提供を求めて海外に行くというケースもよくありますよね。街で募金も見かけるし。
その国でも、臓器提供を待つ重い病気を抱えた子供達はたくさんいて、その子達の親からしたら、日本人が金に物を言わせて横取りしていく!と憤りを覚えるかもしれません。なので、アメリカは外国人への移植を全体の〇%と制限しています。


難しいテーマだよなぁ。
と、色々考えさせられはしますが、小説としてはうまくない。
なんか記録小説みたい。
相変わらず、女性キャラクターを描くのが下手だし。

失踪した弟の借金三千万円を背負ったことで、妻子とバラバラになってしまった一男。昼間は図書館、夜はパン工場と、一日中働いている一男に、宝くじ3億円の当選という奇跡が訪れる。
パニックになった一男は、15年前に決別し、今はIT長者となった元親友・九十九に相談に行くが・・・。...

九十九が一男の3億円を盗んで失踪するのですね。
一男は九十九を探すため、九十九と共に起業し、現在はその売却益で億万長者となっている3人に会いに行きます。

巨万の富を得た彼らを見た一男を通し、「お金と幸せ」について描こうとしているのでしょうが、うーむ、これは小説というより自己啓発本みたいな印象を受けました。

太平洋に面した港町・鼻崎町。

東京の短大に進学するも、同窓会で再会した高校の同級生と結婚し、地元に戻って来た菜々子。...

夫の転勤で鼻崎町に住むことになった光稀。
鼻崎町の美しい景観に惹かれ、移住してきた陶芸家のすみれ。


交通事故が原因で車椅子生活を送っている菜々子の娘・久美香に「翼をください」と書いた光稀の娘・彩也子の作文が地元紙に掲載されたことをきっかけに、三人は「クララの翼」というブランドを立ち上げ、すみれが作った陶器の翼のストラップを販売することになるが・・・。


3人とも悪人ではありません。
でも元々の友達ではなく、タイプも全く異なります。
悪人ではないけれど、3人とも自分のことしか考えていないので、少しずつ歪みが生じ、歯車が狂って行きます。

「三人は仲良しだったけど、それぞれに少しずつもんくがありそうで、親友には見えませんでした」という彩也子の日記が上手いです。


田舎には人情が残っているとか、田舎の人がピュアだとか、そんなものが幻想であることは周知だと思うので、本作のメインテーマではないと思います。

大人になると、特に女性は子供の学校などをきっかけに、バックグラウンドも年齢もタイプも違う女性陣と付き合わざるを得ない状況が訪れますよね。
私は本作を読んでそのことを一番考えました。


小説としては、人間の業を描いているにしては弱いし、ミステリーとしても中途半端だなぁと思います。

湊さん、もはやイヤミスの女王とは呼べないよね。
本人もそう呼ばれたくないのかもしれませんね。

2015年に読んだ本は、164作品でした。
(上下巻や文庫5冊なんてのもあったから、164冊ではありません。)

2014年は195作品だったのですが、ペースが落ちたと言うよりも、読みたい本が無かったという感じ。

2015年は、ものすごーく面白い!!と思えた本が、5作くらいしかありませんでした。


まずは、ぜひ読んでもらいたいお薦め本。

『ブラック・ベルベット』 恩田陸 (双葉社)
『絶叫』 葉真中顕 (光文社)
『サラバ!』 西加奈子 (小学館)
『持たざる者』 金原ひとみ (集英社)
『笹の舟で海をわたる』 角田光代 (毎日新聞社)
『火星に住むつもりかい?』 伊坂幸太郎 (光文社)


『その女アレックス』
『死のドレスを花婿に』
『悲しみのイレーヌ』
ピエール・ルメートル(文春文庫)


ここからは、次点作品。

『さよなら、ニルヴァーナ』 窪美澄 (文藝春秋)
『ナイルパーチの女子会』 柚木麻子 (文藝春秋)
『避難所』 垣谷美雨 (新潮社)
『岩窟姫』 近藤文恵 (徳間書店)


※2015年の新刊ではないものも混じっています。

週刊文春で連載しているエッセイをまとめたものの最新刊です。
林さんですら「すきやばし次郎」の予約が取れないのなら、私に取れるはずがないと諦めるきっかけとなりました。

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