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カテゴリ: 本(日本人作家)

ananに連載中のエッセイ「美女入門」を単行本化したものの第16弾です。
基本は
美味しいものを食べて、お買い物して、ダイエットして、の繰り返しですが、私も(レベルは違いますが)そんな日々なので勝手にシンパシーを抱いております。

いつも読みながら、誰のはことなのだろう??と思ってしまいます。

男の趣味が悪いことで有名な楚々とした美人の売れっ子作家。
彼女は十年前にとある文学賞を受賞した際、再婚したばかりの夫を伴ってきたのだそうですが、いかにも水商売風で周囲がびっくりしたのだそうです。実際、キャバレーの客引きをしていたそうで、皆の予想通りの食わせ者で、奥さんの稼ぎをごっそり使い込んでいたのだそう。

誰??

林さん、レストランで隣のテーブルになったり、帝国ホテルですれ違ったり。
その度に、著作ほぼ読んでいますと話しかけたくなるのです。

≪初子さんは扉のような人だった。小学生だった私に、扉の向こうの世界を教えてくれた。≫ (「父とガムと彼女」)

タイトル通り、記憶のなかのあの人を描いた8つの短編小説集です。
どれも人生の一部を切り取ったもので、明確な起承転結がある訳ではないので、池井戸さんの小説なんかが好きな人にはピンとこないかも。
私は起承転結よりも、<言葉にしにくい感情というものを言葉で表現できるということ>が作家として一番大事なことだと思っていますが。

一番印象に残った文章です。

恋愛においてもっともつらいことは、拒否ではなく、意志のない受容である。そして、自分が彼にとって何ものであるのかを、けっして規定してもらえないことだ。
私は彼との関係にかたちをあたえるため、躍起になり、しかし私にできるのはとことん彼につきあうことのみだった。

湊かなえさんの最新刊です。

正直、長いだけ・・・と思ってしまった。

養父から暴力を受けている少女、実の父親から性的虐待を受けている少女、実の父親から性的虐待を受けている上に、実の兄に売春を強制されている少女、実の父親に売春を強制されている少年・・・。
もう虐待のオンパレード。

実際に想像もつかないような虐待を受けている子供達はいて、その事実は真摯に考えていかねばならない問題だとは思いますが、ここまで不幸のオンパレードだと、逆に不謹慎な気すらしてしまいました。
特に主人公の母親はあまりに不幸の連続で、昔の昼ドラみたい・・・。

という訳で、湊さんが「未来」というテーマを描きたかったのだろうことは分かりますが、あまりうまくいっていないように思います。



西加奈子さんの最新刊で、8篇が収録された短編集となっています。
主人公は小学生から中年まで全員女性。
傷ついていたり何かを抱えていている女性が、一歩を踏み出せるキザシが見えるようなお話です。

どれも明確な起承転結は無いので、ストーリー展開を重視する方には向かないかも。
言葉にしにくい、人間の内面のモヤモヤしたものを描いている小説です。

陰でイタイ人と笑われながらも、酒豪&ブスキャラを変えられないキャバクラ嬢を描いた「あねご」。
大学生の時に仲間と立ち上げた劇団が成功。立ち上げメンバーだということで周囲から気を遣われているが、実は厄介者扱いされている広報担当を描いた「ドブロブニク」。
この2篇が特に心に残りました。

忍者と芭蕉の故郷、三重県伊賀市の高校に通う伊賀ももと上野あおは、地元の謎解きイベントで殺人事件に巻き込まれる。 探偵好きの二人はこれ幸いと、ももの直観力とあおの論理力を生かし事件を推理していくが・・・

タイトルは良いと思ったんだよねー。ドラマとかになりそうとも。
が、読んでみたら、すごくつまらなかった・・・。

まず、ミステリーとしては全然ダメで、ちっとも面白くない。
女子高生キャラクターものとしても中途半端。

麻耶さん、最近のティーン向け?の軽いものより、昔の暗くて重たくて長い方が好きです。
でも、もうそういうのは売れないんだろうな。
なんといっても、膵臓があんなに売れるんだもの・・・。

初めて知った作家さんです。
本作がデビュー作で、第8回鮎川哲也賞の最終候補に残っています。

「第一部 メルヘン小人地獄」と「第二部 毒杯パズル」の二部構成になっており、“小人地獄”という架空の毒薬を巡る事件が描かれています。
第一部は名探偵と呼ばれる瀬川みゆきの友人である大学生の三橋荘一郎、第二部は瀬川みゆきの視点で描かれています。

冒頭からやられました。
あらゆるメディアに奇妙な童話のような怪文書が送り付けられるのですが、頭から離れません。
そして、この小人地獄という毒薬の作り方が凄いんですよ…。
こういうものを読むと、作家ってやはり変態じゃなきゃなれないんだろうなと思います。私みたいな普通の善良な(?)人間には、こんなこと思いつかないもの。

この方、文章が上手。
トリックとしては第一部も第二部も目新しさは無かったのですが、小人地獄のインパクトと文章の巧みさで一気読みしました。
第二部の犯人の動機とラストの余韻も良いです。


柚木麻子さんの最新刊。

夫の母の喫茶店で働く佐知子には、アイドルグループ「デートクレンジング」のマネージャーを務める実花という親友がいる。
佐知子にとって実花こそが憧れのアイドルだったのだが、その実花が突然“婚活”を始め、人が変わったかのように焦り出す。

結婚を焦り、結婚したら子供が出来ないことに焦り…。
常に焦らされている女性達を解放したい。
ということがテーマなのだろうけれど、女の友情など他に色々な要素を盛り込み過ぎて、一体何の話なのか、何が言いたかったのか伝わらない。



絶対に残業しないと心に決めている会社員の結衣。

時には批判されることもあるが、彼女にはどうしても残業したくない理由があった。
仕事が最優先の元婚約者、風邪をひいても休まない同僚、すぐに辞めると言い出す新人。
様々な社員に囲まれて働く結衣の前に、無茶な仕事を振って部下を潰すという噂のブラックな上司が現れて…。


まるで私のようなタイトルです。

本作には様々なワーカホリックが登場しますが、私の周囲にもいますね。
どの部署に行っても、一人だけ残業する人。土日でも出社する人。
あの人達は、“その”仕事がやりたい訳じゃない、“仕事”がしたいんです。
なんだろう、他にやりたいことは無いのだろうか。
会社にいないと不安なのだろうか。
もし自分の仕事に自信があるのなら、堂々と定時に帰れるのではないかなと思うけど。


本作に出てくるブラックな上司が本当にヤバい。
何度も「インパール作戦」(無謀な作戦の代名詞ですね)というキーワードが出てくるのですが、とにかく精神論。
自分がクライアントに悪く思われたくないためだけで、採算度外視で、部下に深夜残業と休日出勤を強いる。でも自分は帰るし休むという…。


小説としては期待ほど面白くなかったけど、今の私とシンクロしました。

服飾美術館を舞台に、洋服補修士の纏子、学芸員の晶、そして服を愛するフリーターの芳、過去に傷を抱えた男女3人が一歩を踏み出していく話です。

正直、ストーリーとしては、ありきたりな感じがしましたが、服飾美術館というのが面白くて。
洋服補修士という職業も初めて知りました。

16世紀から19世紀のアンティークレース。
1955年のバレンシアガのコート。
ディオールにいた頃のイヴ・サンローランのワンピース。
み、見たい!!!

実際に京都にKCIという服飾美術館があるのだそうです。
是非行ってみたい!!

オカルトスポット探険サークルの学生六人は、OBが所有する京都山間部のファイアフライ館に合宿に来た。
ここは十年前、作曲家の加賀螢司が演奏家六人を殺した場所で、サークルOBの佐世保が買い取ったのだ。
殺害現場を忠実に再現した館でサークルメンバーは肝試しを行う。
そして嵐がやってきて、川が氾濫。陸の孤島となった館で、次々と殺人事件が起こり…。

麻椰さんのクローズドサークルものです。
さらに複数の叙述トリックが仕掛けられていて、ラストは騙されました。
ただし、犯人の動機がおぞましく、読後感はかなり悪いです。

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