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カテゴリ: 映画

中村文則の同名小説を「犯人に告ぐ」「脳男」の瀧本監督が実写映画化。
中村文則の小説って読みにくくてエンタメしてないのに、よく実写映画化しようと思ったなぁと。
ポスターが東映っぽいと思ったのだけど、ワーナー配給なのね。意外。

フリーライターの耶雲が週刊誌に企画を持ち込む。
それは一年前に起きた焼死事件の容疑者とされた天才カメラマン木原坂に密着するというもの。
徐々に真相に近付いていく耶雲は、逆に木原坂に追い詰められていく。

あまり予備知識入れない方が楽しめると思うので、ストーリーについてはこれ以上触れませんが、映画も章立てで構成されており、第二章から始まるのがミソです。
ドンデン返し系ですね。
ただし、私は読めてしまいました。
(ちょうど似たようなトリックの小説を立て続けに読んでおり・・・。)
こうだったら面白いなと思ったラスト(更にエグイ)があったのですが、あー、こっちかぁと。

ところで耶雲を演じた岩田くん。
斎藤工(木原坂)の横に並ぶと貧相なのが目立つね・・・。
ちっちゃいし脚短いし肩幅無いし。
でもまぁ斎藤工がかっこ良すぎるんだろうけど。


3点
http://wwws.warnerbros.co.jp/fuyu-kimi/index.html

私にとってギレルモ・デル・トロ監督は、「パシフィック・リム」の人ではなく、「パンズ・ラビリンス」や「クリムゾン・ピーク」のダークファンタジー&不条理ファンタジーの人。

とても良かったです。
障害者・ゲイ・黒人が半魚人を救うために国家と闘うという、マイノリティによるマイノリティのための国家との闘争という社会派としての側面もありますが、私は単純に、恋愛物としてグッときました。

「キャロル」(2016年のマイベストムービー)と近いものを感じます。
男性の中で相対的にお金持ち、女性の中で相対的に美人、といった相対的なものではなく、この人(半魚人だけど)でなければダメなんだという絶対的な唯一無二の愛。
昔から私はこのテーマが好きなんですよね。

とにかく美しく、画面から目が離せない。
予告にも使われている水で埋まったアパートの部屋のシーンだけでなく、細かいカットも美しい。
「キャロル」でも車窓のシーンが印象的だったのですが、本作でもバスの窓に当たる雨粒が心に残りました。

ラストの手話はうっかり泣くかと思った。

とかく偽善的な話になりそうなもんですが、所々ブラックなのも良かった。

サリー・ホーキンス、美人じゃないけど(逆にこの役は美人だと説得力が無い)素晴らしい女優さんです。

そして何よりもギレルモ監督の想像力と創造力。
「パンズ・ラビリンス」を観た時もぶっ飛んだけど、やはり天才だなと。
映画にとって一番大事なのはストーリーではなく、やはり映像だよね、と改めて思いました。(ストーリーなら小説読めば良いじゃんと思う。)

そう。人間にとっても最も大事なのは想像力だよね。
どうか、世界中から動物虐待と児童虐待が無くなりますように。
どうか、他者の痛みを共感する能力をDNAレベルで全人類に組み込んでください。
エンドロールが流れている間、ひたすら願ってしまいました。

第90回アカデミー賞の作品賞・監督賞・作曲賞・美術賞
第75回ゴールデングローブ賞の監督賞・作曲賞
第74回ヴェネツィア国際映画祭の金獅子賞(グランプリ)
(他にも色々)を受賞しています。

まだ「ファントム・スレッド」「ペンタゴン・ペーパーズ」「ウィンストン・チャーチル」「君の名前で僕を呼んで」「レディ・バード」を観ていないけど、クリストファー・ノーランが監督賞を撮ると思ったんだけどなー。
(アカデミーの作品賞は、脚本賞or脚色賞にノミネートされていないものが選ばれることはほぼ無いので、「ダンケルク」は選ばれないだろうとは思っていた。)


4.5点
http://www.foxmovies-jp.com/shapeofwater/


なにこれ?なんでこれを映画化したの?

2015年8月にパリ行きの高速鉄道内で起きた無差別テロ事件を映画化したものです。
予告を観た時に、テロリストを制圧するなんて時間的には一瞬のことだよね?どうやって2時間もたせるの?
まさか延々と回想を挟むとか・・・!?と思ったんですよね。
不安的中。

テロリストを制圧した3人の青年の生い立ちが延々と綴られます。
まさに彼らがアムステルダム発パリ行きの高速鉄道に乗るまで、ずっと。
鉄道のくだりは15分も無かったのでは?
そこまでずーっと、正直言ってどうでも良い一般人のありきたりな生い立ちを見させ続けられる。
これが本当につまらなくて、苦行のようでした。
3人とも悪ガキで、しょっちゅう校長室に呼び出されるとか、マジどうでもいいっちゅうねん。

どうしようもない悪ガキで、人生に挫折し続けた過去を持っていても、勇気を出せば、人生一発逆転できるよ!という話??
(私はねー、昔から、ヤンキー先生とか嫌いなのよ!)
だとしたら、延々と見させられるこの3人の過去をもっと上手く生かすべきだったと思うのよね。

どうしようもない人間が人助けする話なら、「アンナチュラル」の8話の方がずっと感動します。
悪かった過去もちゃんと生きているし、脚本の出来がずっと良い。

私はイーストウッド監督作品を結構観ていますが(「ミスティック・リバー」以降は全て)、今までで一番酷かった。
イーストウッド信者って、イーストウッド監督作品全てを褒め称えるけど、それって論理的ではないと思うんですよね。
私にも好きな監督はたくさんいますが、好きな監督にも駄作はあるし、全作品が傑作なんてありえないでしょう。
イーストウッドのことだから、全てが痛烈な皮肉(本編中に「アメリカ人は全ての手柄がアメリカのものだと主張する」みたいな台詞があったので、深読みした)であったとか、何かしらのオチが欲しかった・・・。

なお、青年3人を本人たちが演じているという挑戦をイーストウッドはしたそうですが、これもねぇ、監督の自己満足だと思うのよね。
視聴者には関係無いというか。
だって私、観終わってエンドロール流れるまで、気付かなかったし。
なんか演技下手な見たことのない俳優さん達だなとしか思わなかった。

細かいことだけど、Wi-Fiが繋がらなくて一等車に移動していましたが、切符はどうしたんですかー?


2点
http://wwws.warnerbros.co.jp/1517toparis/

良い映画でした。

ビジネスで成功し何不自由無い隠居生活を送っているハリエットは、生きているうちに自分の訃報記事を用意しようと考える。
執筆を依頼された地元新聞社の訃報記事担当者のアンが取材を始めるが、疎遠になっていた家族もかつての同僚も、誰一人としてハリエットのことを良く言う人はいなかった。
理想とはほど遠い内容の原稿を読んだハリエットは、最高の訃報記事にすべく行動を起こす。

シャーリーン・マクレーンが、全ての人から嫌われている<スクルージおばさん>ハリエットを演じています。

完璧主義者のハリエットは、誰のことも信用していないし、任せない。
美容院に行っても自分で髪の毛を切る、病院に行っても自分で診断する…。

取材を受けた周囲の人たちのコメントがブラックで笑ってしまいました。
あれは人間の形をした黒い雲
彼女のことを忘れたくてセラピーに通っている
嫌い、嫌い、とにかく大嫌い
何か一つでも良いところはないですか?と食い下がるアンに、「・・・良いこと?彼女が死ぬことね」とまで言う人も。

そして、訃報記事に良いことを書いてもらうべく、「どこかに可哀想な子供はいないかしら?」とアンに探させる本末転倒っぷり。

でもハリエットといるうちに徐々にアンは感化されていきます。
やはり成功している人は違うということですよね。
この辺りの関係は、「プラダを着た悪魔」のメリル・ストリープとアン・ハサウェイに近いかも。
でももっとちゃんと心の交流があって、最後は泣ける。

とかくベタなお涙頂戴ものになりそうなところを、シャーリーン・マクレーンの巧みさと、ブラックギャグ、全編を彩るミュージックがポップに仕上げています。



4点
http://tsuzurimasu.jp/

 

第70回カンヌ映画祭でソフィア・コッポラ監督賞を受賞しています。

舞台は南北戦争中のアメリカ南部の女子寄宿学校。
負傷した北軍兵士が運び込まれてきたことで、秩序を保ってきた女だけの生活の歯車が狂いだしていくと。

コリン・ファレル演じる北軍兵士・マクバニーが、女たち全員にいいように言うんですよ。
君ほど美しい人を見たことがないとか、君が一番の友達だとか。
で、悲劇(惨劇)が起こると。

とても美しい映像の、スリラーというか、もはやホラーです。

ソフィア・コッポラらしい色彩、(戦争中なのに)この時代に生まれたかったと思ってしまう程かわいい衣裳。
でも、ホラー。

ま、一番怖いと思ったのは、キルスティン・ダンストの岩子っぷりですけどね。
この人、本当に全く可愛くない。
三白眼だし、フェイスラインが消失しているし。
それなのに、なぜ、美人という設定なのか謎!
ソフィア・コッポラはセンス良いはずなのに、この点では美的感覚を疑う!

なお、本作はトーマス・カリナンの小説の映画化なのですが、過去にも映画化しており、なんと!その時のマクバニー役はクリント・イーストウッドだったのです。


3点

http://beguiled.jp/

人口増加問題を解決すべく、人間を1/14サイズに縮小する技術が発明されるという近未来SF。

予告を観た時に、しょうもなさそうなコメディかと思ったんですよ。
なんでこんな作品にマット・デイモンは出演したのだ!?と思ったら、監督がアレクサンダー・ペインじゃないですか。「サイドウェイ」と「ネブラスカ」はそうでもないけど、私はこの監督の「ファミリー・ツリー」が大好きで。普通の人が一生懸命生きているだけなのに、なぜかおかしみがあって、でも愛おしい。そういう作品を撮る監督なので、こんな近未来SFをやるなんて意外だなと思ったのです。

結論。
やっぱりアレクサンダー・ペインだわ。
この監督を知らないで観た人は、きっと思っていたような映画じゃなかったと不満に思うと思う。

ダウンサイズはあくまでも設定であって、主題ではない。
だから、ダウンサイズされた人間達が巻き起こす騒動とか、政府との戦いみたいなことを期待するとガッカリすると思う。

マット・デイモン演じる人生に挫折し続けてきた男が、自分は自分で良いのだと気付く、自分探し的な内容です。「サイドウェイ」「ネブラスカ」「ファミリー・ツリー」にも通じるテーマ。

正直、ダウンサイズ取っ払っても成立するくらい、後半はダウンサイズ関係無い。

それにしても、こういう役を演じると、いかにマット・デイモンがイケメンじゃないかということに気付く。「ボーン」シリーズのマット・デイモンは大好きで、セクシーに見えるのに…。(「Extreme Ways」を聴くと切なくなるもんね。)


3点
http://downsize.jp/

音楽が本当に良かった。
早速、サントラをダウンロードして、ずーっと聴いている。
音楽だけで言えば、「ラ・ラ・ランド」より断然好み。
(「ラ・ラ・ランド」もサントラをダウンロードしたけど、結局、「Another Day of Sun」しか残していない。)
正直、映画よりサントラの方が良いくらい。

「The Greatest Show」「This is Me」「A Million Dreams」「From Now On」全て名曲。
でも私が一番好きなのは、「Never Enough」。

Never, never~♪
これ、鑑賞中にまじで震えた。

こんなの目の前で歌われたら、恋に落ちゃうよ。
バーナム(ヒュー・ジャックマン)はジェニー・リンド(世界的オペラ歌手)に完全に恋に落ちたと思ったんだけど…。
あそこで浮気しちゃってこそ、初めてストーリーが動くと私は思うんだけどね。

ストーリーは大したことないです。
でもそれは仕方ないですよね。
ミュージカルって、歌の部分で話が止まっちゃうから、あまり複雑なストーリーは不向き。

なので内容はあまり語れることが無いです。

冒頭のヒュー・ジャックマンの「The Greatest Show」にドーパミンが過剰分泌されて気絶しそうだったわー。俳優でこんなに歌が上手いなんて、どういうことなんだ。

バーナムの奥さん役を演じたのは、“金髪なだけでよく見たら美人ではない五大女優”の一人であるミシェル・ウィリアムズ。
(他、キルスティン・ダンスト、レネー・ゼルウィガー、グウィネス・パルトロー、エイミー・アダムス。ミア・ワシコウスカとジェニファー・ローレンスも入れたいところ。)

なお、監督のマイケル・グレイシーはCMの人で、本作が長編映画デビュー作。
次回作は「NARUTO」だそうですよ!


4点
http://www.foxmovies-jp.com/greatest-showman/

y

脚本&監督のマーティン・マクドナーがフランシス・マクドーマンドにあて書きしたと聞き、俄然興味が湧いた作品です。

第75回ゴールデングローブ賞で最優秀作品賞(ドラマ部門)、最優秀脚本賞、最優秀主演女優賞(ドラマ部門)、最優秀助演男優賞を受賞。
第90回アカデミー賞で、作品賞・脚本賞・主演女優賞・助演男優賞にノミネートされています。

ミズーリ州の片田舎の町で何者かに娘を殺された主婦のミルドレッドが、犯人を逮捕できない警察に業を煮やし、抗議のために町はずれに巨大な広告看板を設置する。
「娘はレイプされて焼き殺された」
「いまだに犯人が捕まらない」
「どうして、ウィロビー署長?」

それを快く思わない警察や住民とミルドレッドの間には埋まらない溝が生まれ、いさかいが絶えなくなり、ついに事態は思わぬ方向へと転がっていき…。

良い意味で思っていたような話ではなかった。

ウディ・ハレルソンが演じているので、ついつい極悪警察官という先入観を持ってしまったが、ウィロビー署長は署員や町の人々に慕われており、決して彼が怠惰で犯人が捕まらないのではない。
ミルドレッドは怒りっぽく、娘との関係も上手くいっていなかった。

というように、明確な善悪や白黒が無いのが逆に良かった。
(でもそれがスッキリしなくて嫌だと言う人もいるのだろうな。)

悪人と善人が明確なら、心置きなく悪人を憎めます。
でもそうじゃないから、この世は複雑な訳で。

一人、怠惰で切れやすくて差別主義な問題警察官・ディクソン(サム・ロックウェルはこの役でゴールデングローブの最優秀助演男優賞を受賞)が出てきますが、彼さえも愚かではあるけれど根っからの悪人ではない。

このディクソンとミルドレッドの共通点は切れやすいということ。
「怒りが怒りを生む」・・・名言ですね。
短気は損気、自分を戒めます…。

シリアスなテーマではありますが、全体的にブラックユーモアが漂っていて、私は所々爆笑してしまいましたが、日本人はこういうので笑わないものだね・・・。


4点
http://www.foxmovies-jp.com/threebillboards/

東野圭吾さんの加賀恭一郎シリーズの10作目(映像化されているのは7作目の『赤い指』以降)を原作とした実写映画です。

ちなみに加賀恭一郎シリーズで私が一番好きなのは『悪意』です。
私は東野さんの著作を全て読んでいる(90冊くらい?)のですが、トップ3に入ります。

話を戻します。

良かったです。
映画化されたものってたいていが原作よりイマイチなことになりますが、なぜか東野さん原作の映画化は、「容疑者Xの献身」を筆頭に、原作に遜色の無い出来になっていますよね。
(「天空の蜂」なんて、原作より映画の方が面白かったくらいです。)

本作、ネタバレにならないように感想言うのが難しいのですが、東野さん版「砂の器」ですかね。
加賀の母親の秘密なども明らかになります。
親が子を想う気持ちって凄いなと思います。
(「アンナチュラル」の3話、映画「スリー・ビルボード」でも同様の感想を抱いたのですが、昨日から読み始めた桐野夏生さんの『路上のX』で、でもまぁ色々な親がいるよね・・・と我に返りました。)

気になったのは・・・
え?こんなに大層な話だったっけ?というくらいの大仰な音楽。
前半やたらに入る説明テロップ。(これは映画じゃない・・・と思ってしまった。)


4点
http://inorinomaku-movie.jp/

吉田大八監督、「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」と「桐島、部活やめるってよ」は素晴らしいと思ったのですが、最近はなぁ・・・。
「美しい星」に続き、本作も期待外れでした。
予告が一番面白かった。
テーマが絞れていないというか、途中でブレてしまったように思いました。

寂れた港町・魚深に移住してきた6人の男女。
彼らは全員、元殺人犯。
これは過疎化が進む町で元受刑者達を受け入れるという極秘の国家プロジェクトなのだ。
彼らの素性を知らない町の人々だったが、徐々に歯車が狂っていき・・・。

予告を観た際は、彼ら6人が何かを企んでいるのかと思いましたが、そうではなく、彼ら6人もお互いを知らないという設定。

何か目的に向かって進むのではなく、波紋的なストーリー。
6人の中でも、変われる人と変わらない人がいて。
またその周囲も、彼らが来たことで化学反応を見せると。
彼らの素性を知って、離れて行く人、味方になってくれる人。

そういうテーマに絞れば良かったのに、途中からおかしな方向に。
ナチュラルボーンキラー的な絶対に変わらないサイコパスがいても良いと思うのですが、そちらにフォーカスし過ぎて、え?何の話?これって人間ドラマではなくホラーなの??とブレてしまったように思います。
もったいなかった。


3点
http://hitsujinoki-movie.com/story.php

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