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カテゴリ:本(日本人作家) > 恩田陸

恩田陸さんの『鈍色幻視行』に登場する、飯合梓という小説家の『夜果つるところ』を恩田さんがメタフィクションしたというもの。

『夜果つるところ』は、撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説という設定だったので、どんな小説か読んでみたいと思っていたので、嬉しい。

が、かなり幻想的な雰囲気の小説で、私にはあまり面白いと思えなかった。
(現実では、これを映画化しても全くヒットしないだろうなと。)

遊廓「墜月荘」で暮らす「私」には、三人の母がいる。
日がな鳥籠を眺める産みの母・和江。身の回りのことを教えてくれる育ての母・莢子。無表情で帳場に立つ名義上の母・文子。
ある時、「私」は館に出入りする男たちの宴会に迷い込む。
着流しの笹野、背広を着た子爵、軍服の久我原。なぜか彼らに近しさを感じる「私」。
だがそれは、夥しい血が流れる惨劇の始まりだった。

莢子の台詞が良かった。
「男のひとは、人殺しのことをそりゃ手を替え品を替えいろんな言葉に言い換えるものよ それが、今回はたまたま革命って言葉だったってことね」

ゼレンスキー氏が、どうしたら戦争を無くせるかとスピーチしていましたが、この世から戦争を無くす唯一の、しかしながら不可能な方法は、男が絶滅することだと思う。

撮影中の事故により三たび映像化が頓挫した“呪われた”小説『夜果つるところ』と、謎の多い著者の飯合梓。
小説家の蕗谷梢は、関係者が一堂に会するクルーズ旅行に夫・雅春とともに参加し、取材を行なう。
映画監督の角替、映画プロデューサーの進藤、編集者の島崎、漫画家ユニット・真鍋姉妹など、『夜~』にひとかたならぬ思いを持つ面々が、梢の取材に応えて語り出す。
次々と現れる新事実と新解釈。
旅の半ば、『夜~』を読み返した梢は、ある違和感を覚える。

長い!656ページ!
ですが、結末が気になって一気読みしました。

ネタバレになってしまいますが、謎は結局のところ解き明かされないのです。
キャラが立った登場人物ばかりですが、この旅行や取材を通して、それぞれが成長するとかでもありません。
恩田さんはこの長い小説で何が言いたかったのか。

梢の「真実なんてパレードで降ってくる紙吹雪みたいなもの」という台詞が印象的。
恩田さんのインタビューを読んで、腑に落ちました。
「人生というのは大体がグレーでできていて、自己か他者のどちらの目で見ているか、でしかない。だからグレーの状態、つまり”曖昧な状態に耐える”というのが、私の人生のテーマの一つでもあるんです」

なんと、本作の連載が始まったのは16年も前のことなのだそうです。
途中でいったん連載を中断し、メタフィクションとなるところの『夜果つるところ』を完成させ、再度連載に戻ったとのこと。
なお、『夜果つるところ』も既に刊行されているので、早く読まねば。

   

「これは、梯結子の問題解決及びその調達人生の記録である。」

どうやったら夏場に集客の落ちるラーメン店に客を呼べるか。
どうやったら友人を生徒会長に当選させられるか。
どうやったら学祭のカフェに客を呼べるか。

結子の考え方や発想力が凄い。
それはつまり、恩田先生が凄いということで、恩田先生は新規ビジネスを開拓できる人だと思いました。

私はそういう点が本当に足りないんだよね。
まずもって面倒くさがり屋なので、自発的に何かをする気が無いのがダメなところ。

結子が大学を卒業し、大手商社に就職が決まるまでを描いております。
青雲編ということは、続きがあるのかな?と思いながら読んだところ、いつ出るか分からないけど続編出そう。

恩田さんの短編集です。

「水晶の夜、翡翠の朝」という〈理瀬シリーズ〉のスピンオフが面白かった。
ヨハンが主人公です。

理瀬が去った学園で、ストローの包み紙で作られた白い人形が置かれるようになる。
そして「わらいかわせみに話すなよ」という童謡の見立て連続傷害事件が起き・・・。

すごい。
白い人形があちこちに置かれた理由に驚いた。
恩田さんって天才だなぁ。

とは言え、その他の短編は不思議な話が多くてちょっとピンとこなかった。


「理瀬シリーズ」というか、『海の麦に沈む果実』に登場する理瀬の親友・憂理が物語の鍵となります。
長い。上下巻。

学生時代の友人である男女四人が島(屋久島がモデル)を旅する話で、四人それぞれの視点で描かれる四章で構成されています。

旅の娯楽として、それぞれが謎解きを出題するのですが、ちょっとした身近なネタから始まり、やがてそれぞれが過去を掘り起こしていくという流れがミステリアスで良かったです。

あと、Aさんが見ているBさんと、Bさんの内面は違うという、小説ならではの面白さを味わえます。

私も今年のGWに屋久島に行ったので風景が浮かびました。

理瀬シリーズの第3弾。(長編では第2弾。)

祖母の遺言に従い、留学先のイギリスから帰国し、祖母と暮らしていた長崎の洋館に戻ってきた高校生の理瀬。
出戻りの叔母2人との共同生活が始まるが、周囲で不吉な事件が連続する・・・。
果たして祖母の死は本当に事故だったのか?
祖母が生きているうちに何とかしたかった洋館の秘密とは?

面白かったです。
全体を漂う何かが起こりそうな不吉な雰囲気も良い。
シリーズ前作の『海の麦に沈む果実』より、具体的でミステリとしても楽しめた。

シリーズ読んでいなくても、本作単体でも楽しめると思います。


『六番目の小夜子』のスピンオフ、『夜のピクニック』の前日譚、〈理瀬シリーズ〉の理瀬が小学生だった頃の短編などを含む十の短編が収録されています。

なんだかどれも序章というかオマケみたいな(恩田先生に大変失礼ですが)短編で、オチが無いというか。
恩田陸の大ファンで著作は全てコンプリートしたいという人は読んだら良いと思いますが、恩田さん未読の方はくれぐれも本作を初読にしないでくださいませ!
お初は是非とも『蜜蜂と遠雷』を!


理瀬シリーズの第2弾。
ちゃんと登場するのは本作からとも言える。

北海道の湿原にある全寮制の学園に転入してきた理瀬。
学園では次々と殺人含む不審死が起こり・・・。

ゴシックホラーっぽい雰囲気は好きですが、ストーリー的にはフワフワしすぎていて、少し物足りなかったない。

美少女と美少年だらけで耽美的な雰囲気もあるので、アニメ化したらよいかも?
でもタイトルが難点か。

恩田さんの「理瀬シリーズ」17年振りの新刊『薔薇のなかの蛇』を先日読んだところ、理瀬シリーズを殆ど覚えていないことに気付き、シリーズ再読。
http://tomosan63.blog.jp/archives/46986713.html

理瀬シリーズの第1弾『三月は深き紅の淵を』(※A)には、4章の中編が収録されているのですが、とても高度な構成になっており、ストーリーが面白いかどうかはさて置き、この点に感心した次第です。

第1章の「待っている人々」は、『三月は深き紅の淵を』(※B)という稀覯本を探すミステリー。
(※Aと※Bが同タイトルなので紛らわしいですが、別物です。)

『三月は深き紅の淵』(※B)も4部から構成されていて、ざっくりとこういうあらすじなのだそうです。
第1部は、四人の老人が旅をする話。
第2部は、失踪した恋人を、恋人の友人と探す話。
第3部は、血縁関係の話。
第4部は、ある作家が小説を書いている話。

これが※Aの第1章~4章とリンクしているのですよ。
リンクしているだけで、※A≠※Bです。

説明が難しい。
理解できたでしょうか・・・。

恩田陸さんの「理瀬シリーズ」17年振りの新刊。
(と言っても刊行されたの1年前ですが…)

ほとんど覚えていなかったから、シリーズ読み直してから読めば良かった。

このシリーズの良いところは、ストーリーよりもキャラクター。
理瀬はヒロインらしく美少女なのですが、ヒロインなのにダーク(邪悪)な部分があるのが好き。

本作では大学生になっていました!

ブラックローズハウスと呼ばれる屋敷を舞台にしたゴシックホラーです。

ヨハンもちょっとだけ出てくるよ!

今思ったけど、キャラクターが立っているから、アニメ化したら良さそう。
タイトルを一考しないとだけど…。

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