ただし津村さんの持ち味は遺憾なく発揮されております。
四年ごとに開かれる会社の代表選挙で、上位二名による決選投票が行われることになったが、「控えめに言って、どっちもくそ」。
両陣営からの運動員の送り込み、ハラスメント手前の圧力、上司からの探りという社内政治の面倒臭さが描かれています。
あー、分かる分かる。
いやマジで本当に分かる。
それでも明日はやって来て、会社に行き、生きて行かねばならないんだよ。
小山田浩子氏の書評には、「それは諦めではなく希望なのだ」と書かれていましたが、私は希望とまでは思えなかったけど、とにかく〈みんな、それでも生きて行かねばならない〉という同士的な励ましは感じられました。