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カテゴリ:本(日本人作家) > 川村元気

認知症になった母親とその息子のお話です。

認知症になった母親と接することで、息子は忘れていた記憶を思い出していきます。
その逆説的な感じが面白いなと思いました。

「あなたはきっと忘れるわ。みんないろいろなことを忘れていくのよ。だけどそれでいいと私は思う」

母はずっと覚えていた。自分が忘れていたのだ。半分の花火は、こんなに近くにあった。それなのに母が最後に見たかった花火を、見せてあげることができなかった。

あんなに嬉しかったのに、どうして忘れてしまったんだろう。


このくだりはこみ上げてくるものがありました。
今、母が死んだら。
考えただけで後悔の波が押し寄せてきて震えます。

ただし、この小説の母親はかつて息子に対し酷い罪を犯していて、それなのによくこんなに母親の面倒をみてあげるなとは思いましたが。私なら赦せないかも・・・。

失踪した弟の借金三千万円を背負ったことで、妻子とバラバラになってしまった一男。昼間は図書館、夜はパン工場と、一日中働いている一男に、宝くじ3億円の当選という奇跡が訪れる。
パニックになった一男は、15年前に決別し、今はIT長者となった元親友・九十九に相談に行くが・・・。...
九十九が一男の3億円を盗んで失踪するのですね。
一男は九十九を探すため、九十九と共に起業し、現在はその売却益で億万長者となっている3人に会いに行きます。

巨万の富を得た彼らを見た一男を通し、「お金と幸せ」について描こうとしているのでしょうが、うーむ、これは小説というより自己啓発本みたいな印象を受けました。

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