第160回直木賞候補・2019年本屋大賞第3位・「このミス2019年版」国内編第2位。
ようやっと読みました。

すごい熱量でした。(実際、480ページの超大作)
深野さん、まだ35歳なのですね。
それで第二次世界大戦後のベルリンを描くとは、ものすごく勉強もされたのでしょうし、何より、その想像力に圧倒されました。

1945年7月。ナチス・ドイツが戦争に敗れ、米ソ英仏の4ヶ国統治下に置かれたベルリン。
米国の兵員食堂で働くドイツ人少女のアウグステは、ソ連のNKVDに拘束される。
アウグステの恩人であるクリストフという男が、ソ連領域で米国製の歯磨き粉に仕込まれた毒で不審死を遂げたのだ。
無罪を主張するアウグステに、NKVDはある指令を出す。
それは、クリストフの甥を探し出し、彼の死を伝えること。

途中までは、両親を亡くしたアウグステが戦後を必死に生き抜く人間ドラマとして読んでいました。
そうだよね、ドイツ人だって一般の人々は被害者だよねと、改めて気付きながら。

が、ラストでびっくり。
そうか、これはミステリーでもあったのか。
すごい伏線。ミステリーだと思わせないから、余計に驚いた。