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カテゴリ:本(日本人作家) > 井上夢人

井上夢人さん、岡嶋二人の一人ですね。
本作がソロになってからの初作品です。

警備保障会社に勤める西岡悟郎は、とある新興宗教の道場を警備中に火事に遭遇。
それ以来、頭の中で別の誰かの声がするのだ。
その火事亡くなった教祖の魂が乗り移ったのか…。

教祖は自殺だったのか、殺人だったのか。
声と一緒に真相に迫ります。
並行して、教祖の娘と恋愛関係に。

いくつかドンデン返しはあるのですが、それより誰かが乗り移っているというシチュエーションが飛び道具過ぎるような。

井上さんの『ラバー・ソウル』が傑作です。

何を今更・・・と仰る方も多いと思いますが、いやはや傑作でした。

実の親からも疎まれるくらい醜い顔をした鈴木誠は、学校にも行かず(行けず)社会と断絶し、ビートルズにのめり込み、洋楽専門誌にビートルズの評論を寄せるまでになる。
ひょんなことからその雑誌の撮影に立ち会うことになった誠は、モデルの美縞絵里に恋に落ちてしまう。

ビートルズの「ラバー・ソウル」というアルバムに収められている楽曲と同じタイトルで章立てされています。
鈴木誠の独白と、周囲の人間たちの証言で物語が進んでいきます。
ずっと鈴木誠のエキセントリックなストーカー話かと思って読み進めていくと、ラスト、椅子から転げ落ちそうになります。

読んだ後、しばし呆然。
切なくて泣けました・・・。




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