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カテゴリ:本(日本人作家) > 倉知淳

倉知淳(私は『星降り山荘の殺人』しか読んでいませんが)の最新作で、著者初の倒叙ミステリとなっています。
倒叙ミステリとは、最初に犯人が明かされ、主に犯人の視点で物語が展開されていくタイプのもの。
「古畑任三郎」や「刑事コロンボ」みたいなものと言えば、イメージが湧くでしょうか?

4つの中篇が収録されています。

犯人は、人気作家、学内で“皇帝”と称される有名教授、新進気鋭の劇団の主宰者、美人フォトグラファー。
彼らを追い詰めていくのは、死神のような風貌とは似つかわしくない名前の乙姫警部。
(これも古畑任三郎っぽいなと思いました。)

倒叙ミステリという特長はありますが、ミステリとして面白かったかと言うと、そうでもなかった。
犯人のトリックや、警部の謎解きに驚きが無い。

そして、死神のような風貌をあらゆる描写で強調しているのですが、その風貌がさほどの効果をもたらせていない気がします。

初版は1996年。
クローズド・サークルものの名作とのことで読んでみました。

とある関東近郊の別荘地帯を買った企業が、そこをリゾート地として売り出すため、イケメンのスターウォッチャー、人気の女流作家、UFO研究家を招待する。
で、殺人事件が起きると。

大雪で交通が遮断され、電話も通じない。
確かに、雪に閉ざされた山荘という設定なので、クローズド・サークルとしては不自然さはありません。

私は普通に騙されました。
が、誰かに話したくなるような驚きのラスト!という感じではないのです。
後味が悪いというか、この人がこんな本性だったなんて、残念。

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