ここ最近、集中してアガサ・クリスティーを読み直しており、新刊を追えていませんでした。

メディアはおろか関係者の前にも一切姿を見せない現代美術家・川田無名。彼は、唯一つながりのあるプライマリー・ギャラリー経営者の永井唯子経由で、作品を発表し続けている。ある日唯子は、無名が1959年に描いたという作品をギャラリーに持ち込んでくる。類似作が約六億円で落札された程の価値を持つ幻の作品だ。しかし唯子は突然、何者かに殺されてしまう・・・。

2016年の「このミス」大賞受賞作です。
ミステリーとしては物足りない部分がありましたが、普段接することの無い現代アートの世界を垣間見られて興味深かったです。

コンセプトやアイデアが価値を形成する現代アート界では、作品に作家自身の手が入っていなくても問題無い。(実際の製作作業を弟子が行なっても問題無いということらしい。そうすると、佐野さんは問題無いってこと・・・?)

「価格と値段の違いを知っているか?」というフレーズが印象的でした。
価格というのは、需要と供給のバランスに基づいた客観的なルールから設定される。
一方、値段というのは、本来価格をつけられないものの価値を表すための、所詮比喩なんだ。
私はアートのような「値段」の物を買うことは出来ないなぁ。