趣味の為に生きて行く。

グルメ、本、映画、旅行をメインにアップしていきます。

中山七里

中山さんの社会派ミステリー。
テーマは“生活保護”についてです。

仙台市の福祉保険事務所課長・三雲が殺される。
更に県議会議員の城之内が殺された。
城之内はかつて三雲と同じ福祉保健事務所に勤務していた。

三雲と城之内は餓死させられるという特異な殺され方をします。
誰が一体どんな恨みを二人に抱いていたのか。

抜粋します。

現在の社会保障システムでは生活保護の仕組みが十全とはとても言えません。人員と予算の不足、そして何より支給される側の意識が成熟していないからです。不正受給の多発もそれと無関係ではありません。声の大きい者、強面のする者が生活保護費を掠め取り、昔気質で遠慮や自立が美徳だと教え込まれた人が今日の食費にも事欠いている。それが今の日本の現状です。

かなり切ない話でした。

そして私は完全にミスリードさせられました。
犯人、予想外でした。

中山さん、多作で書くのが早いのが売りのようですが、もう少し1作1作に心血注いだ方が良いと思います。
駄作を量産しているだけ!

千葉県警の警察官が射殺され、陰でアマゾネスと呼ばれる警部・高頭冴子が、目撃者である8歳の少年から話を聞くことに。
犯人は予期せぬ人物で、しかも冴子はその人物から濡れ衣を着せられ、犯人に仕立てられてしまう。
で、冴子は少年を連れて逃亡し、真犯人に立ち向かうと。

身長180㎝の武闘派という冴子のキャラクター設定も、ストーリー展開も、ありがちだし、展開は荒唐無稽でめちゃくちゃ・・・。

最近の中山さんの小説には、中山さんの思想が色濃く描かれていますね。
ミステリーだけど、描きたいのはトリックではなく、この思想なんだろうなと。
(作風は全然違うけど、白石一文さんと通ずるものがあるわ。)

凶悪事件を起こし、死刑を求刑されながらも懲役刑となった犯人達の家族が相次いで殺される。
被害者家族による復讐か?
それとも現在の法制度に対する義憤が動機か?

加害者の人権って言うけど、それなら被害者の人権はどうなるの?
なぜこれだけの凶悪犯が、税金で3食風呂付きの生活を送れるの?

犯罪者の家族は何をされても良いの?

など、色々と考えさせられます。

私は法学部出身なのですが、ゼミで「人口増えすぎているし、こんな人達にわざわざ税金で更生してもらわなくて結構。どうせ癌の治療薬を発明できるような頭脳を持っている訳でもないし」と発言した私に、教授が「自分の子供が犯罪者になったら?と思うと・・・、親になるとまた考え方が変わってくると思うよ」と言ったのを思い出しました。

まぁでも、中山さんは本出し過ぎ。
なんか表面的というか・・・、魂が感じられない。
もっと1冊1冊を、これが最後かもしれないと思って書いた方が良いと思う。








火災で家と主である史親を失った秋山家。
残された妻の景子、中学生の雅彦、小学生の太一の三人は、史親の実家「秋山善吉工務店」に世話になることになったのだが・・・。

この秋山善吉というのが、昔気質の職人で、頑固でおっかないのだけど、一本筋が通っている。
太一は転校先のクラスメイトからいじめられ、雅彦は半グレに転落しかけ、景子はパート先の量販店で悪質クレーマーに絡まれると、それぞれトラブルを抱えるのですが、善吉が助けてくれます。
という連作短編と中に、あの火災は実は放火だったのではないか?というミステリーの軸が通っていると。

気軽に読める内容。
ですが、あまり残るものはないです。

今回の主人公は民放テレビ局の報道番組の記者。
女子高生誘拐殺人事件を巡り、スクープと誤報、報道の自由と人権の問題、メディアと倫理の問題を描いています。

確かに私もニュースを見ていて、ここまで報道する必要がある?と思うことがあります。
一体、誰にとって必要な情報なのだろうと。
実際問題、視聴者の野次馬根性とか下世話な好奇心を煽っている部分もあるなと。

ところで、いかんせん、中山さんは作品書き過ぎじゃないかと。
タイトルも似ているから、どれ読んだか混乱するし、毎回重たいテーマを描いている割りに、機械的に書いている感があるのが残念です。
もっと渾身の一作が読みたいです。

『ヒポクラテスの誓い』(WOWOWで北川景子主演でドラマ化されました)の続編の法医学ミステリーです。

“コレクター(修正者)”と名乗る人物から、埼玉県警のホームページに書き込みがあった。
コレクターは、病死や事故死や自殺として処理され、司法解剖されなかった遺体の中に、犯罪死が紛れていると示唆。実際に犯罪絡みだった事例が見つかり、県警と法医学教室は大混乱に陥ってしまう・・・。

6つの短編が収録されている連作短編集となっています。

海堂さんの小説でも、司法解剖制度の問題点がテーマになっているものがあります。
確かに見逃されてしまった犯罪が多々あるのだろうな・・・と思う一方、司法解剖によって真実が明るみになったとしても死体が生き返る訳でもなく、限られた予算であるのならば、生者を救うことを優先すべきなのではとも思います。

刑事・犬養隼人シリーズと弁護士・御子柴礼司シリーズのハイブリット。
犬養VS御子柴が見られます。

陸上200m走でオリンピックを狙う沙良を悲劇が襲った。
交通事故に巻きこまれ、左足を切断、しかも加害者は隣に住む幼馴染みの泰輔だった。
アスリート生命を絶たれた沙良は恨みを募らせる。
そんな泰輔が殺害され、高額な保険金が支払われた。
一方、パラリンピックを目指し再起を図る沙良は、高額な義足を何度も買い替える。
その資金はどこから出ているのか?
警察は沙良に疑いの目を向けるが・・・。

ラスト、思いもよらない展開に、そうだったのか・・・と驚きました。
切ない話ではあるのですが、なんと言えばよいのだろう・・・、中山さんて職人なんだなと。
今回は特にこういう話ということもあり、その職人感が気になりました。
極端に言うと、こういう話はこういう風に書けばよいのでしょう?と、機械的に書いている感じがしてしまったのです。魂が込められていないというか。熱を感じられないというか。

フリーの編集者が殺されるという事件が起きる。
捜査一課に配属されてまだ半年の明日香は、先輩刑事の犬養に、出版業界に詳しい刑事兼作家の毒島を紹介してもらうが、この毒島が、呼吸するように毒を吐く強烈キャラで・・・。

刑事犬養隼人シリーズのスピンオフになるのかな。
5つの短編から構成されています。

ミステリーとしてどうこうというより、出版業界の裏側を覗けて面白かった。

自分は本を読まないくせに作家になりたい「ワナビ」と呼ばれる人達、
ヒットを生むためなら手段を選ばない編集者、
新人賞を獲ったものの巨匠病に陥り、二作目が書けない新人作家、
図書館でしか本を借りないくせに、ネットでディスりまくる読者、
作家のストーカー、
原作への敬いのないテレビプロデューサー。

出版業界ってやはり特殊な世界なのだなぁと羨ましくなりました。

中山七里さんの最新刊です。

予備知識無しで読み始めたところ、途中で、もしやこれは・・・と気付きます。
モチーフはあの「山口連続殺人放火事件」なのではないかと。

覚えていますか?
2013年7月21日に山口県の周南市金峰の限界集落で、高齢者5人が殺害された事件ですよ。

本作の主人公である溝端了衛は、有名大学を卒業して外資系金融会社に就職したが、リーマンショック以降、業績が悪化、ついに解雇となってしまう。
時を同じくして、父親が他界。
ひとまず空き家となった実家に戻ってきた了衛だったが・・・。

了衛の実家は7世帯しかない限界集落にあるのですね。
了衛は他6世帯の老人たちに馴染もうと、色々頑張るのですが、全て裏目に出てしまうのです。
老人たちは全てを了衛の責任にし、了衛の貯金を巻き上げ、村八分にし、いじめ抜きます。
有り金が底を尽き、そして唯一の心の支えを奪われた了衛は、ついに切れてしまうのですね。

とまぁ、山口連続殺人放火事件がモチーフとなると、展開読めると思うのですが、ラスト、ドンデン返しがありますよ。
(私は途中で気付いてしまい、ものすごく嫌な気持ちになりました・・・。)

私が了衛だったら、どうしただろうと考えながら読みました。
就職したくても、了衛の悪口は村役場にも吹き込まれていて、まともに仕事を紹介してもらえない。
お金も尽きているので、引っ越せない。

でもまぁ、本人の性格にも問題があるのですよね。
独りよがりというか。
そうじゃなかったら、大学の友達が助けてくれると思うもの・・・。

私も自分がいじめられる分にはまだ我慢できても、心の支えである〇〇を奪われたら、間違いなく切れて復讐すると思います。
山口連続殺人放火事件が起きた時も、犯人を単純には断罪できないな・・・と思ったことを思い出しました。


中山さん、2ヶ月に1冊のペースで新刊を出すので、最近追いきれなくなっています。

弁護士・御子柴礼司シリーズの3冊目です。

御子柴のかつての恩師で、特別養護老人ホームに入居中の稲見が介護士を殺害した。
稲見は殺意を認めているが・・・。

その介護士というのが最低最悪な人間なのですね。
抵抗できない老人たちを虐待しまくっていたのです。

しかも彼は、251名の死者を出した韓国船沈没事故の際、女性を殴って救命胴衣を奪い、自分だけ助かり、暴行罪で訴えられたものの、刑法の「緊急避難」が適用され、まさかの無罪となったという過去を持っているのです。

それなら、稲見の行為も、「緊急避難」とみなされてしかるべきなのでは?
というのが争点です。

そこに様々な因縁が絡み、交錯していきます。

「罪」とは何か。
法の限界や裁判員制度の問題など、色々なことを考えさせられます。
あっという間に読んでしまいました。


↑このページのトップヘ