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天童荒太

道後温泉の旅館「さぎのや」は、お遍路さんだけでなく、行く場所や帰る場所のない傷ついた者たちも受け入れてくれる。

的な温かい話なのですが。

主人公の雛歩という少女が、15歳なのにあまりにものを知らず、言い間違えも多く、私は途中までパラレルワールドかファンタジーなのかと思っていた。

例えば、エイリアンとベジタリアン、ホスピスとカルピス、かいかぷりと猫かぶり、自首と自習。
こういう言い間違いが頻繁に出てきて、さすがに白けるというかイラっとするというか。

家庭環境が複雑で勉強に集中できなかったという設定なのですが、いやでもこんな15歳いないでしょ。。。

天童さんの著作は全て読んでいるのですが、今回ほど、読み進まないものはなかった。
難解だし、共感できないし、とにかく面白くない。
途中、何度も挫折しかけ、私にしては珍しく上下巻読むのに1週間もかかってしまった。

ペインクリニックに勤務する医者の万浬は、実は生まれつき心に痛みを感じたことが無い。
そんな万浬が、クリニックで、海外でテロに巻き込まれ、その時の怪我が原因で肉体的な痛みを感じることができなくなった森悟に出会う。

心に痛みを感じない人間
肉体に痛みを感じない人間
心に痛みを感じない人間を作ろうとする人間
様々な人が登場します。

冒頭がかなりの読みにくさなのですが、万浬の祖母や万浬の患者の視点で描かれた章はストーリーがそれなりにあり、やっと回転してきたか…と。
でもまぁ、お薦めはしません。

いま話題の山本周五郎賞受賞作です。
文庫改訂版の全5巻を読みました!
こんな暗い小説をモーリシャスのビーチで一気読み・・・。

主な登場人物は3人。

東京都児童センター職員の氷崎游子。
アル中の父親を持つ少女・玲子を気にかけている。

警視庁の警部補である馬見原光毅。
厳しく育て過ぎた息子が事故か自殺か判断のつかない死を遂げている。
そのことで家族が崩壊寸前なのに、他人の母子の心配ばかりしている。

私立高校の美術教師である巣藤浚介。
あまりに禁欲的な両親に育てられ、親子断絶している。
絵の才能がある不登校の生徒・亜衣を気にかけている。

この3人に、連続して起きている「引きこもりの子供が両親を殺害し自殺するという事件」が絡んでいきます。

天童さんは、当時もてはやされていた「家族にかえろう」へのアンチテーゼとして執筆されたそうです。様々な家族間の問題を解決せずに「家族にかえろう」なんて言ったら、結局、子供に皺寄せがいってしまうと思っていたようです。

観なかったけれど、TBSはよく本作をドラマ化しようと決意したなぁと思うくらい、重いテーマです。

『悼む人』の坂築静人の日記です。
本当に日記なのです。
何月何日、「どこで・どんな風に亡くなった人を・どのように悼んだか」がずっと書き連ねてあります。

全くお薦め出来ない本ですが、地震や昨日観たお芝居の内容ともシンクロし、明日どうなるか分からないという焦りのような気持ちでいっぱいになりました。

ダイビングのインストラクターで生計を立てる舟作は、遺族グループに依頼され、立ち入りを禁止されている海に潜り、遺品の引き揚げを行っている。
ある日、幹事以外は舟作と接触してはならないというルールを破り、グループの一人が声を掛けてきた。彼女の依頼は、「行方不明の夫の結婚指輪を見付けないで欲しい」といもので・・・。

舟作が法律違反かつ危険なこの仕事を引き受けたのは、兄が自分の身代わりで津波に飲まれてしまったという過去があるから。
舟作と、舟作に奇妙な依頼をする女性。
二人に共通しているのは、「サバイバーズ・ギルト」です。
「なぜ自分だけが生き残ってしまったのか」
天童さんが描きたかったテーマです。

一方、舟作と共にこの非合法の仕事を受けている漁師の目的は、単に金。
綺麗事だけを描いていないのも良いと思います。

なんですが、もっと書き込んで欲しかったなぁ。
ちょっと物足りないです。

天童さん、いつもは5部作くらいで書くのに・・・。

育児ノイローゼの妻を更に追い詰める夫。
幻の恋人が見える少女に、そんな人は実在しないと教えてしまう中年男。
流産した恋人から逃げてしまう男。
夫を亡くした年上の女性のために、自分の恋人を犠牲にする男。

全員、不器用と言えば聞こえは良いですが、他人への共感能力の低い、全く好きになれないタイプです。
彼らの行為の根底には愛情があり、それが空回りしてしまっているということなのでしょうけれど。

どの話も、ラストは希望の兆しみたいなものが見えますので、ご安心ください。

天童さんの、天童さん名でのデビュー作です。

一人暮らしの女性を拉致監禁した末に滅多刺しにして捨てるという猟奇連続殺人事件が起きている。
その犯人と、女性刑事、彼女の行きつけのコンビニ店員。
この3人の目線で描かれ、ストーリーが交錯し、収束していきます。

犯人は完全にサイコパスですが、読者的には最初から犯人が分かってしまうので、犯人は誰か?という謎解きではなく、「志村後ろ!」的なハラハラドキドキ感ですね。

更に、天童さんが描きたかったテーマは、サイコスリラーではなく、タイトルにもある通り「孤独」ということなのだと。

3人とも、過去にトラウマがあり、孤独であるという共通項があります。
女性刑事の「結局、どうなっても、ひとりだから」という台詞に共感しました。
一人が寂しいから誰かと付き合う、結婚するというのは、違うと思っていて。
恋人がいても、結婚しても、人間は孤独を抱えて生きていくものだと思うのです。

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