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島本理生

島本さんの著作も全て読んでいて、一番好きなのは『よだかの片想い』です。
島本さん、『Red』で唯川恵さん方向に行ったなぁと思ったのですが、本作では金原ひとみさん方向に行ったと思いました。

神父の金井という共通の登場人物はありますが、4本の中篇が収録されています。

『Red』辺りから官能的な描写が一気に増えましたが、これまではそうは言ってもお上品だったのです。本作は露悪的な要素が加わり、私は「サテライトの女たち」で、おー、ここまで島本さんが書いたか!とちょっと驚きました。

薄い本なのですが、なかなかに難解です。

そうか。私達女性はこんなに傷付いているのか。
いや、そんなか?
でももしかしたら、見ないフリをしているだけ、奥底にしまっているだけなのか。

島本さんの直木賞受賞後の第一作です。
6篇の連作短編集です。
が、何となく繋がっているという程度で、6篇を貫くテーマ感や6篇読み終えての収束感は弱いです。

6篇のうち3篇が不倫の話で、女からの視点で描いた「あなたは知らない」と男からの視点で描いた「俺だけが知らない」が興味深かったです。
全然見えている景色が違うんだよね。

ところで島本さんって、同じ人と離婚して再婚しているそうですね。
好きじゃなくなった訳ではないのに離婚したのだろうか。





就職活動中の女子大生・聖山環菜が父親を刺殺。環菜が美しく、アナウンサーを目指していたこともあり、マスコミに大きく取り上げられる。
この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼された臨床心理士の真壁由紀と、この事件を担当することになった弁護士の庵野迦葉。二人は単なる大学の同級生という以上の因縁があり…。


なぜ、環菜が父親を刺したのか。
事件の全容とともに、由紀と迦葉の因縁も徐々に明らかになっていきます。

また、3人には親から虐待を受けていたという共通項もあり、それが読んでいて結構辛いです。

島本さん、新境地開拓だなと思いましたが、ちょっと踏み込みが足りないように思いました。
これくらいなら、ある程度の人なら書けると思う。

一見おとなしそうだけれど、芯が強くて仕事好きな30歳の知世。
年上のエンジニア・柴田さんと出会い、徐々に惹かれていくのだけれども、彼は大きな病を抱えていて・・・。

大きな病と言っても、深刻な展開にはなりません。
初出は「BIRD」というライフスタイル誌(現在は休刊中)ということもあり、最初はふわっとした印象なのだけど、徐々にジワジワ効いてきます。
島本さん、やはり上手いなぁ。

友人に、「そんな病気を抱えた人でなくても、ほかにもいい人いるって」と言われた知世の返しが印象的です。

「いないよ。なに一つ特別じゃない私の話をいつまでも飽きずに聞いてくれて、真剣に心配したり、絶対に傷つける言葉を使わずにアドバイスをくれたり、旅行をすれば、楽しくて、なにを食べても二人一緒なら美味しい。初めてだったよ。そんな人」

泣ける。

私、よく友達や後輩女子達に、「好きな人と一緒に暮らせる人が必ずしも一致する訳ではない」と言っています。
もちろん、イコールだったら、とても幸せだけどね。でも結構奇跡だよね。
だから、知世もこう言ったのでしょう。

ただし、主人公の知世の章よりも、友人の茉奈と神田ちゃん(二人とも独身)、知世の妹の千夏(既婚)の章の方が面白いです。
たぶん、知世って島本さん本人がトレースされているのだと思う。
だから、ぶっちゃけきれていないというか、やたら心情描写が言い訳がましくて、イライラするの。

でも、他3人は赤裸々。
茉奈は二股男と別れられず、神田ちゃんは年上の既婚者とデートを続け、千夏もナンパしてきた男とのメールを支えにしてしまっている。

瀬戸とかいう女の中には、手をつないだ夜だけが残った。
そして妻の私には、手を振り払われた思い出が今も残っている。


千夏は夫の言動にピンときて、携帯を見てしまうのですね。
そこには瀬戸という女から、「一度だけ手をつないでもらった夜のことは忘れません。それ以上の関係になりたいなんて望みは捨てます。それでも、新しい恋に出会うまでは、心の中で好きでいていいですか?」というメールが。
(あざといー!なんてあざといんだ!!でも男は騙されるだろうなーー。)
でも、夫はかつて、手をつなごうとした千夏を「手をつなぐのは苦手」と拒否したのです。

うわー、きっと女性なら分かるよね、このショックさ!
夫は手をつないだだけで何もないと言うのでしょうね。
きっと、妻が何に対して悲しんでいるのか、分からない。

他にも色々、おぉう・・・という描写がありますよ。
池井戸さんと両極端ですね。
ストーリーか心情描写か。


会社経営者の真田と神父の如月。
二人の対照的な男が、男好きするシングルマザーの比紗也に惹かれ、彼女を助けようと奔走します。

うーむ・・・
比紗也を好きになれなかった。

比紗也には、実母が逃げてしまい、血の繋がらない養父に育てられ、しかも性的関係を強要されていたという過酷な過去があるのですね。

だからこそ、それなら男になんて頼らず、独力で生きて行けよと思ってしまう。
真田と付き合いながらも如月にも頼り、でも真田のことを信用できないと思ったら、養父の所に逃げ帰る。
どれだけ弱くて身勝手なんだと。

こういうこと言うと、男どもに「みんなアンタみたいに強くないんですよ」とか言われがちですが、別に私だって強くないですから!
他人に迷惑かけないということを第一にして必死で生きているんですよ。

なので、こういう女とは友達になれん!

あと、島本さんの小説は全て読んでいるのですが、なんか彼女の文章を好きになれないのよね。
同世代だと綿矢りさの方が断然巧いと思う。
好きになれない理由、本作でよくわかった。
なんかね、文章が言い訳じみていてイライラするのよねぇ。

島本さん、『Red』に続いて、大胆な性描写。
本人の顔(地味)を知っているだけに、ちょっと照れます。

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