趣味の為に生きて行く。

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朝井リョウ

朝井リョウ 『死にがいを求めて生きているの』(中央公論新社)

朝井リョウさんの新刊です。

幼馴染の雄介と智也の小学校時代から現在(大学生)までを描く連作短編小説集なのですが、視点は彼らと接点を持った第三者によるものになっています。

雄介と智也はタイプが正反対な上にお互いに好きだと思っているようにも感じず、なぜ二人は親しいのか?どちらがどちらに執着しているのか?という主人公の疑問が、そのまま読者の疑問に重なります。

雄介が、かなり痛い人物で、朝井さんが度々描いている「何者かになりたい」タイプなのですね。
「手段と目的」が完全に逆転している。
あることを追求して有名になるのではなく、有名になるためにあることを追求するという。
読んでいて、本当にイライラした。
つまり、それくらい、朝井さんの描写が巧みということです。

また本作は、中央公論新社130周年の「螺旋プロジェクト」の1冊となっており、「海族」と「山族」の対立という共通のテーマも盛り込まれています。
なぜ智也は雄介を見捨てないのか?それがここに隠されているのであります。

今、同プロジェクトの伊坂幸太郎さんの『シーソーモンスター』も読み始めております。


朝井リョウ 『もういちど生まれる』(幻冬舎)

大学生の群像劇で連作短編集になっています。

朝井さんは本当に心情描写が上手いです。
人が目を背けたいと思う自分の心の奥底のドロドロしたものや、他人に知られたくない恥ずかしい感情を、まさに!という文章で書き起こします。えぐっているとも言える。

朝井さんの冷静な観察力と分析力に慄くことがあります。
恋人のこともこんな風に分析してしまうのだろうか…。
(男はちょっと鈍感なくらいがちょうど良いかもしれません。)

連作短編集の良いところは、同じAさんでも、視点によってイメージがガラリと変わることですよね。

本作でも、同じコンビニでアルバイトしている男子大学生から格好良いと思われているダンサーの女子が、実はそこまでダンスの実力が無く、男子大学生とやり取りしている時だけ自分が何者かに思えるという話があり、印象的でした。

朝井リョウ 『少女は卒業しない』(集英社)

朝井さんの小説、過去のものでいくつか未読のものがあり、追いかけることにしました。

統廃合により校舎の取り壊しが決まったとある高校の卒業式を描いた連作短編小説集です。

好きだった先生、幼馴染、好きだった先輩、彼氏、友人・・・
7人の少女の視点で「別れ」が描かれていきます。

それぞれ、しみったれていないけど切ない。
この匙加減がすごいなぁと思います。

最終章はネタバレにならない方が良いと思いますので、どんな別れかは書きませんが、上手いなぁと思いました。

朝井さん、文章上手いわぁ。この時、何歳よ。ちょっと悔しくなるくらいの才能。




朝井リョウ 『風と共にゆとりぬ』(文藝春秋)

朝井さんは好きな作家さんで著作は全て読んでいます。
こちらは朝井さんのエッセイ集。
小説家の書くエッセイってあまり面白くないことが多いのですが(東野さんや角田さんですら)、朝井さんのは面白いです。

朝井さんは、ネアカではなく、根っこは屈折しているのだけど面白いというタイプですね。

朝井さんが柚木さん(二人とも好きな作家さんなので二人が仲良いということが羨ましい)と担当税理士の今野さんの結婚式で替え歌という余興を披露したエピソードに爆笑。
「今夜はブギー・バック」を「今野でマネー・バック」。
センスありすぎます。

結構、ブラックな発言をするところも、むしろ好印象です。

朝井リョウ 『何様』(新潮社)

『何者』が映画化される際に宣伝の一環で出したのだろうなぁと、おまけくらいの気持ちでおり、今まで読んでこなかったのですが、おまけなんてことは全くなかったです。
読み応えあるし、朝井さんは「人の自意識」を描くのがやはり上手いなぁと思いました。

全6話が収録されています。
『何者』のアナザーストーリーとしては、
光太郎が出版社に入りたかった理由、
理香と隆良が一緒に暮らし始めた経緯、
瑞月の両親はなぜ離婚したのか、
そして主人公としてではないけれど、サワ先輩とギンジのその後も描かれています。

ずっと女の子と二人組が作れなかった理香の話。
そして『何者』の登場人物ではないけれど、ずっと優等生でい続けた正美の話が印象的でした。

私も、むしゃくしゃしていた。
人に迷惑をかけてきたことを誇りにしている東郷晴香に、
迷惑をかけてきたからこそ自分以外の誰かのことを理解できるし大切にもできると言いたげな栄子に。

私、ヤンキー先生とかがもてはやされるのって許せなくて。
道を踏み外さないで必死に生きてきた人の方が偉いよ。
ヤンキーから更生って、ゼロに戻っただけじゃん、って思ってしまう。


朝井リョウ 『世にも奇妙な君物語』 (講談社)

朝井さんは「世にも奇妙な物語」の大ファンだそうで、映像化を夢見て、勝手に書き下ろしたのだそうです。
5つの短編から構成されておりまして、確かにこの5作で「世にも奇妙な物語」が成立しそうです。

ちゃんとした職にも就いていて、お金にも友達にも不自由していないのに、見知らぬ他人と一緒に住むのはなぜ?
「シェアハウさない」
彼らがシェアしているものとは・・・

コミュニケーション能力促進法が施行。無
作為に選ばれた対象者が調査されることに・・・
「リア充」裁判
なぜ対面での人間関係より、SNSでの記録が評価されるの?

モンスターペアレンツ対策のため、全児童が平等に主役になれるよう計らわねばならず・・・
「立て!金次郎」
成長するにつれ世の中は平等ではなくなるのに・・・

ニュース配信サイトのライターである香織は、全ての出来事を13.5文字で要約するようになり・・・
「13.5文字しか集中して読めな」
移動時間中にネットニュースを読む人たちの目的は、ニュースを読むことじゃない。暇な時間をつぶすことよ。

で、面白いのが5話目。
上記の4話の主演を務めた俳優陣が集められ、オーディションを受けさせられるのですが、明らかに誰をモデルにしているのかバレバレな名前なのです。
しかも、俳優としてのポジションまでそっくり。

これ、本人たちは大丈夫なのだろうか・・・。
溝淵淳平
桟見れいな・・・暴走系の女性主人公の学生時代の友達って役ばっかり
勝池涼・・・主人公の学生時代の友人役ばっかり 
八嶋智彦・・・小柄でめがねってだけで、早口でよくしゃべるおとぼけな役ってのが多い
板谷夕夏・・・主人公の上司役ばっかり
渡辺いっぺい・・・中間管理職みたいな感じ

溝淵淳平に至っては、
・大規模オーディションでグランプリ
・初出演映画はどこかの放送局の開局何十周年かを記念したものだった
・CM契約は、スポーツ用品メーカーからスーツ量販店へ
・主役を務めることが減った
・日曜にやってるトーク番組でMCもやってる

朝井さんの観察眼って本当に面白いなぁといつも思います。
「何者」の映画化も楽しみです。

朝井リョウ 『ままならないから私とあなた』 (文藝春秋)

表題作に加えて短篇『レンタル世界』が収録されています。

『レンタル世界』
知人の結婚式で新婦の「レンタル友達」をしていた高松さんという女性に一目惚れした雄太は、自分と先輩の関係性を引き合いにし、「人間関係というのはそんなものじゃない」と自分の価値観を押しつけ、彼女にレンタル業の仕事を辞めさせようとするが・・・。

『ままならないから私とあなた』
幼馴染みで大親友の薫と雪子。
合理主義者の薫と、無駄なものにこそ人の温かみがあると思う雪子は、成長するに従い、価値観の違いが大きくなっていき・・・。

好きになった人・親友、どちらも、ごく身近な人との価値観のギャップを描いています。
朝井リョウは好きな作家さんですが、本作はそこまでではありませんでした。

価値観って、犯罪に関わらない限り、どっちが正しい訳でもないから難しいですよね。
自分の価値観を押し付けてくる人は、コテンパンに論破したくなってしまいます・・・。
無痛分娩を否定し、「お腹を痛めてなんぼ」みたいなことを言う女には、「無痛分娩が一般的なシンガポールの子供は親に愛されていないの?」と言い返してしまう。
個人的には、価値観の違いが興味深かったり新鮮に感じられる場合を除き、不愉快に感じてしまう人とは極力関らないようにしたいです。

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