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タグ:東山彰良

タイトルなんて読むのー?ですよね。

宮部みゆき・辻村深月・薬丸岳・東山彰良・宮内悠介
によるアンソロジーで、タイトルはそれぞれの頭文字を取っています。

念願のマイホームを購入した一家が、家の悪口を言ったところ、災難が降り注ぐ。
など、世にも奇妙的な、ちょっとホラーっぽい不思議なお話がリレー方式で綴られています。

ちょっと期待し過ぎてしまったかなぁ。

もっとちゃんとリレーするorもっとテーマを統一するなど、コンセプトをもっとしっかり固めた方が良かったのではないかと思いました。

2015年の直木賞受賞作をようやく読みました。


最初はちょっと文体が読みにくいなぁと感じたのですが、気付いたら引き込まれていました。

舞台は1975年の台北。17歳の時に主人公・葉秋生の愛すべき祖父が何者かに殺されてしまう。

「誰が何故、祖父を殺したのか?」というミステリー軸が一本通ってはいますが、メインプロットは秋生の怒涛の半生です。

一族の柱であった祖父が殺されてしまった為、少しでもお金を稼ごうと替え玉受験に加担し、高校を退学。
不良高校に転校し、喧嘩に明け暮れる日々。
大学受験の失敗。
入隊。
軍隊から逃走。
そして失恋。
秋生の怒涛の青春時代が生々しく描かれていて鮮やかです。

フラッシュバックだけでなく、フラッシュフォワードを使っているのも構成が新しいなと思いました。
(「僕がもっとこうしていたら、この先別れることはなかったんだろう」的な表現で、この先二人が別れることが分かるとか。)


そしてラスト。

祖父を殺した犯人と動機が分かるのですが、それがドーンと突き落とされるような気持ちにさせられるのです。

歴史や社会派的な要素もあって、深いものがあります。


作者の東山氏は台湾生まれの中国人で、5歳の時に一家で日本に移住したそうです。

実際におじいさんは本土(三東省)の抗日戦士だったようで、ご自身のルーツも反映されているのでしょうけど、

それにしても、すごい想像力&創造力だなぁと思います。

文体は異なるけれど、西加奈子さんの『サラバ!』を思い浮かべました



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